マーケット

FRBのバランスシート縮小問題が今後のマーケットテーマに

【著者】

「年内2回利上げ」=12月縮小開始の“観測気球”?

足もとのマーケット材料ということでは、本日7日の米3月雇用統計結果や、米中首脳会談の中身次第となりそうですが、より大きな俯瞰図で見てみると、今週5日に公表されたFOMC議事録要旨における言及がポイントとなりそうです。

その議事録要旨のポイントは2点。まず1点目は、FOMC参加メンバーの多くがここもとの米株式市場における上昇スピードやその過熱感に懸念を示し始めたこと。そして2点目が、リーマンショック後3度にわたるQE(量的金融緩和)で膨張したFRBのバランスシート(以下、B/S)の縮小に着手することが示唆されたこと。

特に後者(B/S縮小)については、FRBにとっては「利上げ回数」や「利上げペース」よりも重点課題となり得ており、非伝統的金融政策(=量的金融緩和のこと)からの“出口戦略”として極めて重要なミッションと言えそうです。

FRBの本音を探ってみると、「年内2回の利上げを行う」という市場へのメッセージは、言うなれば観測気球と捉えることも可能です。というのも、米国の市中銀行がFRBに現金を預ける際に金利が付くターム物預金ファシリティ(TDF)[日銀当座預金に相当]金利とFF金利はシンクロしており、言うなれば「年内2回のFF金利の利上げがある」=「年内2回のTDFの利上げがある」というメッセージを市中銀行に送ることで、足もとの景気が予想以上に良くなった際、TDFからの預金一斉引き出しに対して予防線を張ることができ、それによりB/Sの安定を図ることが可能になります。

FRBによる金融政策の視線の先にはトランプ政権による大型財政政策(いわゆるトランプノミクス)が厳然とあり、仮に予想より早く、しかも大規模な財政出動が実施された場合、当初想定以上のペースで長期金利が上昇(国債価格は下落)してしまうリスクも。

B/S縮小という出口戦略を出来るだけ早く、また安定的に実施したいFRBにとって、大型財政政策によって引き起こされる長期金利の上昇(※)は、その出口戦略にとって大いなる阻害要因となり得ます。(※「マンデル・フレミングの法則」下、大型財政政策の実施は「株安」「債券安(長期金利高)」「ドル高」フローとなるとされています。)
トランプ政権による経済政策は引き続き不確定要素が高くなっており、本日のシリア攻撃も含め、今後も予測不可能と捉えた方がいいのかもしれません。

FRBとしては、過去3回にわたるQE(量的金融緩和)によって膨らんだ4兆5000億ドル(約500兆円)ものB/Sを、出来るだけ段階的に縮小していくことこそが喫緊のミッション。今後の予想フローは、「年内2回の利上げ(6・9月?)」→「利上げの一旦停止」→「B/S縮小(再投資終了)に着手(12月?)」→「その後の米経済に対する悪影響点検」→「2018年以降に利上げ再開」と捉えるのが一般的と言えそうです。

これらを総合すると、今後の米ドル/円の動きは、横軸(=時間的経過)をベースとした相場展開になることが予想され、一方的に安くはなりにくく、かといって一方的に高くもなりにくい、いわゆるレンジワーク中心の動きとなることが予想されます。

以下、参考までにFRBによるQE(量的金融緩和)フローとB/S問題想定フロー図についてご確認ください。

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津田 隆光|マネースクウェア・ジャパン

津田 隆光

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA)。 テクニカル分析をベースとしたレポートを執筆する他、ラジオNIKKEI「ザ・マネー ~西山孝四郎のFXマーケットスクウェア」では隔週金曜日にコメンテーターを務める。