【9/10-14 資源・新興国通貨展望】 トルコリラは13日の政策金利発表に注目。市場の関心は利上げ幅へ!?

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の来週を展望します。

豪ドル

ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)とCBA(コモンウェルス銀行)は9月6日、住宅ローン金利を引き上げると発表しました。ウエストパック銀行は8月29日に住宅ローン金利の引き上げを発表しており、約1週間の間に豪4大銀行のうち3行が住宅ローン金利の引き上げに動きました。

市場では、住宅ローン金利の引き上げによって、ローンの借り手の金利負担が増大し、住宅市場全体を冷やすとの懸念があります。また、金利負担の増大は、個人消費に悪影響を与える可能性もあります。豪大手銀行による住宅ローン金利の引き上げは、引き続き豪ドルの上値を抑える要因になりそうです。

豪ドルに関しては、米国と中国の貿易摩擦にも要注意です。トランプ米大統領は9月6日のパブリックコメント期間終了後に、中国に対して2,000億米ドル相当の追加関税を課すとの報道があります。本稿執筆時点で対中追加関税は発動されていませんが、近いうちに発動される可能性もあります。一方、米国が追加関税を発動した場合、中国は米国からの輸入品600億米ドル相当に追加関税を課す構えです。米中双方が追加関税を発動すれば、両国の貿易摩擦への懸念が一段と高まりそうです。その場合、豪ドルには下落圧力が加わりそうです。

 NZドル

NZの企業景況感が悪化し、RBNZ(NZ中銀)は次の一手が利下げになる可能性も排除していません。NZの8月企業信頼感指数(ANZ調査。8月30日発表)は10年4カ月ぶりの低水準を記録。RBNZは8月9日の声明で政策金利の据え置きを続ける方針を示しつつも、次の一手は利上げと利下げのいずれもあり得ると表明しました。企業景況感の悪化やRBNZの金融政策の方向性を背景に、NZドルは上値が重い展開が続きそうです。

また、NZドルは米国と中国の貿易摩擦にも注意が必要です。両国の貿易摩擦が激化した場合、NZドルには一段の下落圧力が加わる可能性があります。

カナダドル

BOC(カナダ中銀)は9月5日、政策金利を1.50%に据え置くことを決定。声明では、「最近のデータは、インフレ目標の達成には利上げが正当化されるとの評価を強化している」との見方を示し、追加利上げを示唆。ただ、「入手されるデータに基づいて、段階的なアプローチを取っていく」と表明し、「NAFTA(北米自由貿易)見直し交渉その他の貿易政策の進展、そしてそれらがインフレ見通しに与える影響を注視する」としました。

市場では、BOCが10月24日の次回会合で追加利上げに踏み切るとの観測があります。10月利上げ観測は、カナダドルにとってプラス材料です。

ただし、足もとの市場の関心は、BOCの金融政策以上にNAFTA(北米自由貿易協定)の見直し交渉に向いています。米国とカナダのNAFTA見直し交渉の先行き不透明感から、カナダドルは上値が重い展開となっています。

NAFTA見直し交渉では、乳製品やメディア企業の保護、19条(紛争解決手法を定めた条項)について米国とカナダには意見の隔たりがあるようです。NAFTA見直し交渉の不透明感が残存する間は、カナダドルには下押し圧力が加わりやすいとみられます。一方、米国とカナダが見直し交渉で合意した場合、カナダドルは上昇しそうです。

トルコリラ

TCMB(トルコ中銀)が9月13日に政策金利を発表します。その結果がトルコリラの行方を左右する可能性があります。

13日の会合では、以下の理由から利上げが決定される可能性が高いとみられます。

(1)トルコの8月のCPI(消費者物価指数)が前年比+17.90%と、現在の算出方法が導入された2004年以来の高水準を記録したこと。

(2)7月25日のTCMBの前回会合以降、対米ドルでトルコリラ安が加速したこと。

(3)TCMBが9月の会合での利上げを示唆したこと。TCMBは9月3日の声明で、「インフレ見通しに関する最近の動向は、物価安定への重大なリスクを示している」と指摘し、「中銀は物価安定を支援するために必要な行動を取る」と強調。「最近の動向を踏まえ、9月の政策会合で金融スタンスを調整する」と表明しました。

TCMBが9月の利上げを示唆したことで、市場の関心は“利上げの有無”から“利上げ幅がどれくらいになるのか”に移るとみられます。市場では、インフレ抑制やトルコリラ防衛のためには、少なくとも5%の利上げが必要との見方があります。そのため、TCMBが利上げに踏み切ったとしても、幅が5%未満の場合、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。

南アフリカランド

南アフリカの4-6月期GDPが9月5日に発表されました。結果は前期比年率0.7%減と、市場予想(+0.6%)に反してマイナス成長を記録。2四半期連続のマイナス成長となり、南アフリカ経済はリセッション(景気後退)に陥りました。

米中の貿易摩擦への懸念やトルコをめぐる懸念から新興国通貨全般に下落圧力が加わっています。さらに、GDP統計によって南アフリカ経済の不振が改めて浮き彫りとなったことで、ランドへの下落圧力は一段と強まる可能性があります。ランド/円は今後、心理的節目である7.00円割れを試す可能性があります。7.00円を割り込んだ場合、6.72円(2016年7月安値)が次の下値メドになりそうです。

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八代 和也 マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト

八代和也

マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当 2001年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエア入社。市場調査部に所属し、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨にフォーカスした「オセアニア・レポート」を執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。