[9/17-21、資源・新興国通貨展望] トルコ中銀が大幅利上げ、トルコリラの上昇は続くのか

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の来週を展望します。

豪ドル

豪ドルは今週(9月10日の週)、対米ドルや対円で堅調に推移しました。「ムニューシン米財務長官が中国に貿易問題をめぐる2国間協議の再開を提案した」と報道(12日)されたことで、米国と中国の貿易摩擦に関する懸念が和らぎ、豪ドルの支援材料となりました。豪州の8月雇用者数(13日発表)が前月比4.40万人増と、市場予想(1.50万人増)を上回ったことも、豪ドルの上昇要因となりました。

米中の貿易摩擦については、協議が再開されたとしても、両国の貿易摩擦が解消されるかどうか不透明な部分はあります。米中貿易摩擦に対する懸念を再燃させるニュースが新たに出てくれば、市場は再びリスク回避姿勢を強め、豪ドルに下押し圧力が加わる可能性もあります。

また、今のところ市場でそれほど材料になっていないものの、中国・上海総合指数や人民元が軟調に推移しています。今後は中国情勢にも注意が必要かもしれません。

NZドル

NZドルは今週(9月10日の週)、対米ドルや対円で反発しました。米中の貿易摩擦に対する懸念が後退したことが、豪ドルと同様にNZドルへの支援材料となりました。

NZドルは、米中の貿易摩擦に関するニュースに引き続き注意が必要です。
また、20日発表のNZの4-6月期GDPも材料になる可能性があります。市場では、RBNZの次の一手は“利下げ”になるとの観測があります。

RBNZは8月9日の金融政策報告で、4-6月期のGDP成長率を前期比+0.5%との見通しを示しました。4-6月期のGDPがRBNZの見通しを下回る結果になれば、“RBNZの次の一手は利下げ”との見方がさらに強まり、NZドルに下押し圧力が加わる可能性があります。

カナダドル

カナダドル/円は9月14日、約2週間ぶりの高値をつけました。「カナダはNAFTA(北米自由貿易協定)見直し交渉で、乳製品分野で譲歩する可能性がある」(11日)との報道や、米中の貿易摩擦に対する懸念後退が、カナダドル/円を押し上げました。

米国とカナダのNAFTA見直し交渉は、依然として乳製品分野や19条(紛争解決メカニズムを規定)において両国に意見の隔たりがあり、合意に至っていません。NAFTA見直し交渉について新たなニュースが出てくれば、カナダドルが反応する可能性があります。

来週(9月17日の週)は、21日にカナダのCPI(消費者物価指数)と小売売上高が発表されます。市場では、BOC(カナダ中銀)が10月24日の次回会合で追加利上げに踏み切るとの観測があり、CPIなどがその見方を補強する結果になれば、カナダドルが上昇しそうです。

トルコリラ

TCMB(トルコ中銀)は9月13日、6.25%の利上げを決定。政策金利である1週間物レポ金利を17.75%から24.00%に引き上げました。TCMBは声明で、「インフレ見通しに関する最近の動向は、物価安定への重大なリスクを示す」と指摘し、「物価安定を支援するため、強力な金融引き締めを実施することを決定した」と説明。必要な場合には追加利上げを行う姿勢を示しました。

エルドアン大統領が利下げを要求するなか、TCMBは今回、大幅な利上げに踏み切りました。そのことは、TCMBが政府から独立していることを示すとともに、インフレ抑制やトルコリラ防衛に向けてのTCMBの決意を示したと言えそうです。今回の利上げはトルコリラのプラス材料と考えられ、トルコリラは目先、戻りを試す展開になる可能性があります。

ただ、エルドアン大統領は今後もTCMBに対して利下げ圧力を加え続けるとみられるため、TCMBの独立性をめぐる懸念は再燃する可能性があります。

また、米国とトルコの関係が改善に向かう兆しはみられないうえ、拡大する経常赤字への対応策は依然なされていません。高インフレによる購買力の低下やTCMBのこれまでの利上げ(4月以降の利上げ幅は計11.25%)の影響によって、トルコ経済は今後リセッション(景気後退)に向かうとの観測もあります。

アルバイラク・トルコ財務相は9月13日、中期経済計画を20日に発表すると表明。市場の関心は今後、中期経済計画へと向かう可能性があります。トルコリラがさらに戻りを試す展開になるには、中期経済計画で、経常赤字の縮小に向けての具体策が示される必要がありそうです。

南アフリカランド

今週(9月10日の週)の南アフリカランド/円は、堅調に推移しました。米中の貿易摩擦に対する懸念が後退したことが、ランド/円の支援材料となりました。ランド/円は引き続き米中貿易摩擦の行方に注意が必要です。

9月19日に南アフリカのCPI(消費者物価指数)、20日にSARB(南アフリカ中銀)の政策金利が発表されます。SARBの政策金利については、現行の6.75%に据え置かれるとみられます。

市場では、SARBは政策金利を年内据え置いて、来年初めに利上げを行うとの観測があります。クガニャゴ総裁の会見が市場のこうした見方を変化させる内容になれば、南アフリカランド相場が反応する可能性があります。

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八代 和也 マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト

八代和也

マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当 2001年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエア入社。市場調査部に所属し、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨にフォーカスした「オセアニア・レポート」を執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。