[資源・新興国通貨11月の展望]トルコリラは、下落リスクに要注意

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の11月を展望します。

豪ドル】主要国の株価動向、米中貿易摩擦に関するニュースに要注意

豪州の7-9月期CPI(消費者物価指数)が10月31日に発表されました。結果は、総合CPIが前年比+1.9%と、4-6月期の+2.1%から上昇率が鈍化し、RBA(豪中銀)のインフレ目標の下限である+2%を再び下回りました。一方、RBAが総合CPI以上に重視する基調インフレ率は前年比+1.75%と、4-6月期の+1.90%から鈍化。RBAの目標下限の+2%を11四半期連続で下回り、2017年1-3月期以来の低い伸びを記録しました。


(出所:トムソン・ロイターより作成)

7-9月期の総合CPIや基調インフレ率では、豪州のインフレ圧力の弱さが改めて確認されました。特に基調インフレ率が鈍化したことによって、RBAは利上げに一段と慎重になる可能性があります。今回のインフレ指標は、豪ドルにとってマイナス材料と考えられます。

ただ、足もとの豪ドルは、国内要因(豪州の経済指標など)以上に外部要因(主要国の株価動向、米中貿易摩擦に関するニュース)に影響を受けやすい地合いが続いており、その状況は当面続く可能性があります。豪ドルは、主要国の株価動向や米中貿易摩擦の行方に注意が必要でしょう。米中貿易摩擦については、トランプ大統領と習近平国家主席が11月30-12月1日のG20サミットにあわせて会談を行う予定です。米中首脳会談への憶測が広がる可能性があり、それが豪ドル相場に影響を与えることも考えられます。

NZドル】8日のRBNZ政策金利に注目

11月のNZドル最大の独自材料は、8日のRBNZ(NZ中銀)政策金利発表です。その結果がその後のNZドルの動向に影響を与える可能性があります。

政策金利は現行の1.75%に据え置かれるとみられます。今回の注目は、声明やオア総裁の会見、そして金融政策報告になりそうで、特に金融政策報告における政策金利やインフレの見通しに注目です。

前回8月の金融政策報告では、利上げ時期は2020年7-9月期、CPI(消費者物価指数)上昇率が+2%(目標中央値)に到達する時期は2021年1-3月期との見通しが示されました。それらの見通しが変化するのか?が今回の焦点になりそうですが、いずれも前倒しされる可能性があります。NZドルは8月以降に弱含み、また4-6月期GDPや7-9月期CPIはRBNZの8月時点の見通しから上振れたためです。GDPは前期比+1.0%(RBNZの見通しは+0.5%)、CPIは前年比+1.9%(同+1.4%)でした。

利上げ時期やCPIの+2%到達時期が前倒しされた場合、NZドルの上昇要因となりそうです。一方、それらが前回と同じだった場合、NZドルには下落圧力が加わる可能性があります。

カナダドル】BOCの金融政策が着目されれば、カナダドルは上昇基調を強める可能性あり

BOC(カナダ中銀)は10月24日の会合で、0.25%の利上げを決定。政策金利を1.50%から1.75%に引き上げました。BOCの利上げは今年に入ってから3回目です。

声明では、「(利上げについて)段階的なアプローチを取っていく」との文言を削除し、「インフレ目標を達成するために、政策金利を中立スタンスまで引き上げる必要がある」と表明。利上げを今後も継続し、政策金利は将来的に中立水準(BOCは2.50-3.50%と推計)まで上昇する可能性を示しました。

BOCの次回利上げ時期については、市場では来年1月との見方が有力ですが、OIS(翌日物金利スワップ)をみると、今年12月(来月)の確率も3割程度織り込まれています。BOCの利上げ観測は、カナダドルにとってプラス材料と考えられます。

足もとの市場の関心は、主要国の株価動向などに向いており、BOCの金融政策の先行きは市場でそれほど材料視されていない状況です。ただ今後、市場の関心がBOCの金融政策にも向いた場合、カナダドルは上昇傾向を強める可能性があります。

トルコリラ】目先は堅調に推移する可能性あるも、下落リスクに注意は必要

トルコリラは9月以降、堅調に推移しています。トルコリラ/円は10月31日、一時20.66円へと上昇し、8月9日以来の高値を記録しました。

トルコリラが上昇した背景として、TCMB(トルコ中銀)が9月13日の会合で大幅(6.25%)利上げに踏み切ったことや、米国とトルコの関係改善への期待が挙げられます。トルコ国内に拘束され、両国の関係悪化の一因となっていた、ブランソン牧師(米国人)は10月12日に解放されました。

トルコリラは年初から8月にかけて大きく下落したこともあり、目先は戻りを試す展開になる可能性があります。ただ、膨大な経常赤字や高インフレなどトルコが抱える問題は残存しています。トルコ政府は10月31日、減税(商用車の付加価値税を18%から1%へ引き下げるなど)を発表しました。減税は景気を下支えする一方、減税によって消費が刺激されれば、経常収支の悪化やインフレ圧力の増大につながる恐れもあります。市場の目が経常赤字やインフレに再び向いた場合、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があり、注意が必要です。

南アフリカランド】SARB総裁の会見は市場の利上げ観測を補強するか!? 

SARB(南アフリカ中銀)が11月22日に政策金利を発表します。それが11月の南アフリカランド最大の相場材料になるとみられます。

政策金利は現行の6.50%に据え置かれるとみられ、焦点はクガニャゴ総裁が会合後の会見で、SARBの金融政策の先行きやインフレについてどのような見解を示すのか?になりそうです。市場では早ければ来年1-3月期にも利上げが行われるとの観測があるなか、クガニャゴ総裁の会見がそうした観測を一段と強める内容になれば、南アフリカランドが上昇する可能性があります。

南アフリカランドについてはまた、リスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)にも注意が必要です。リスクオンはランドにとってプラス材料と考えられる一方、リスクオフになればランドには下落圧力が加わる可能性があります。

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M2TV(マーケットView)『カナダ中銀は利上げ継続!?カナダドルを今後押し上げる可能性も!?』
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八代 和也 マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト

八代和也

マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当 2001年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエア入社。市場調査部に所属し、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨にフォーカスした「オセアニア・レポート」を執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。