[資源・新興国通貨12月の展望] カナダ中銀は来年1月の利上げを示唆するか

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の12月を展望します。

豪ドル】投資家のリスク意識の変化に反応しやすい地合いか

12月の豪ドルは、主要国株価や資源(特に原油)価格の動向に影響を受けやすい地合いが続きそうです。

また、トランプ米大統領と習近平国家主席が12月1日に首脳会談を行う予定であり、豪ドルはその結果に影響を受ける可能性もあります。首脳会談で米中首脳が貿易摩擦の解消に向けて歩みよれば、リスク回避の動きが緩和するとみられます。その場合、投資家のリスク意識を反映しやすい豪ドルにとってプラス材料と考えられます。一方で、首脳会談で両国の対立が改めて浮き彫りになれば、米中貿易摩擦に対する懸念が一段と高まりそうです。トランプ大統領は首脳会談が不調に終わった場合、新たに2670億米ドル相当に対する追加関税(対中追加関税第4弾)を発動する考えを示しているためです。外為市場では、リスク回避の動きが強まり、豪ドルには下落圧力が加わる可能性があります。

RBA(豪中銀)が12月4日に政策金利を発表します。RBAは金融政策の現状維持を当面続ける方針を示しているため、政策金利は現行の1.50%に据え置かれそうです。声明の内容にサプライズがなければ、RBAの政策金利発表は市場でほとんど材料視されないとみられます。

NZドル】NZのGDPが材料になる可能性あり

NZドルは豪ドルと同様、主要国株価や原油価格の動向、そして12月1日の米中首脳会談の結果に影響を受けやすい地合いになりそうです。それらを受けて、リスク回避の動きが緩和すれば、NZドルにとってプラス材料と考えられる一方、リスク回避の動きが強まれば、NZドルには下落圧力が加わる可能性があります。

NZの7-9月期GDP(12/20発表)もNZドルの材料になる可能性があります。RBNZ(NZ中銀)はNZ経済の減速を懸念しており、景気が悪化した場合には利下げを検討するとしているためです。RBNZは11月8日の金融政策報告で7-9月期のGDPを前期比+0.7%と予想しました。GDPがその予想を上回れば、NZドルの上昇要因になる可能性があります。

カナダドル】来年1月の利上げ観測が高まるか。原油価格の動向に要注意

BOC(カナダ中銀)が12月5日に政策金利を発表します。その結果がカナダドルに影響を与える可能性があります。

政策金利は現行の1.75%に据え置かれそうです。10月に利上げを行ったばかりのうえ、主力輸出品である原油の価格が下落したためです。原油価格の代表的な指標である米WTI先物は先週(11/19の週)、2017年10月以来の安値を記録しました。市場では、政策金利は今回据え置かれて、来年1月9日の会合で0.25%の利上げが行われるとの観測があります。今回の声明が来年1月の利上げ観測を高める内容になれば、カナダドルの上昇要因になる可能性があります。

ただ、カナダドルについては、原油(米WTI先物)価格の動向にも目を向ける必要があります。BOCの1月利上げ観測が高まったとしても、原油価格の下落が続けば、カナダドルは上値が重くなる可能性もあります。

トルコリラ】米国とトルコの関係改善期待や原油安が支援材料

トルコリラは今週(11/26の週)、対米ドルや対円で4カ月半ぶりの高値を記録しました。

米国とトルコの関係が改善しつつあることが引き続きトルコリラの支援材料となったほか、原油価格の下落もトルコリラの追い風となりました。

前者については、トルコ裁判所は10月、米国とトルコの関係悪化の一因となっていた米国人牧師を釈放。11月2日には、米国とトルコが双方の閣僚に課していた制裁を解除しました。

後者については、原油価格の代表的な指標である米WTI先物や北海ブレント先物は先週(11/19の週)、いずれも2017年10月以来の安値をつけました。トルコは必要な燃料の大半を輸入に依存しています。そのため、原油価格の下落によって輸入コストが低下し、さらにはインフレ圧力を緩和する可能性があります。

トルコの11月CPI(消費者物価指数)が12月3日に発表されます。トルコが抱える問題のひとつに高インフレがあるため、CPIの結果にトルコリラが反応する可能性があります。

CPI上昇率は10月に前年比+25.24%と、約15年ぶりの高水準を記録しました。今回については、足もとの原油安やトルコリラの反発、そしてトルコ政府によるインフレ対策(企業が年末まで最低10%値下げを実施するなど)の効果もあり、10月から鈍化しそうです。CPI上昇率が大きく鈍化した場合、トルコリラは上値を試す展開になる可能性があります。一方で、CPI上昇率が10月からほとんど改善しない(あるいは、上昇率が加速する)場合、トルコの高インフレが意識されて、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。

12月13日のTCMB(トルコ中銀)会合では、政策金利(現行24.00%)の据え置きが決まりそうです。

南アフリカランド】SARBが利上げ決定。12月4日のGDPに注目

 SARB(南アフリカ中銀)は11月22日、0.25%の利上げ決定。政策金利を6.50%から6.75%に引き上げました。利上げは2016年3月以来、2年8カ月ぶりです。

今回の利上げは、微妙な判断だったようです。会合では、6人の政策メンバーのうち、3人が利上げ、3人が据え置きを主張。メンバーの意見が二つに割れて、最終的に利上げを行うとの決定が下されました。

SARBが利上げを行ったことは、南アフリカランドの支援材料と考えられます。一方で、南アフリカ経済は低迷。GDP成長率は2四半期(2018年1-3月期、4-6月期)連続でマイナスを記録しました。利上げによって景気が今後一段と冷え込む可能性があります。

南アフリカの7-9月期GDPが12月4日に発表されます。GDPが堅調な結果になれば、南アフリカランドのさらなる支援材料になるとみられる一方、GDPで経済の低迷が改めて浮き彫りになれば、利上げが景気に与える悪影響が市場で意識されて、南アフリカランドは上値が重い展開になる可能性があります。

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八代 和也 マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト

八代和也

マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当 2001年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエア入社。市場調査部に所属し、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨にフォーカスした「オセアニア・レポート」を執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。