資源・新興国通貨2019年1月の展望

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の2019年1月を展望します。

豪ドル】米株価動向に影響を受けそう。1月前半に米中通商協議開催?

豪ドルは18年12月、対米ドルで約2年10カ月ぶり、対円で約2年1カ月ぶりの安値を記録しました。豪ドルが下落した要因として、米国株の下落によってリスク回避の動きが強まったことが挙げられます。投資家のリスク意識の変化(リスクオン、リスクオフ)を反映しやすい豪ドルにとって、米国など主要国の株安はマイナス材料です。

市場の関心は、豪州の経済情勢やRBA(豪中銀)の金融政策以上に、米国の株価動向に向いており、こうした状況は当面続きそうです。主要国株価が下落を続ける間は、豪ドルには下落圧力がかかりやすいと考えられます。豪ドル/米ドル豪ドル/円の目先の下値メドとしては、それぞれ0.6826米ドル(2016/1安値)、76.76円(2016/11安値)が挙げられます。

米国と中国の通商協議が19年1月前半に北京で行われるとの報道があります。米国は3月1日までに中国と知的財産権侵害などの問題で合意できない場合、中国に対する制裁関税を引き上げる意向です。米中通商協議に関する報道に豪ドルが反応する可能性があります。

NZドル】NZのCPIに注目

NZドルは18年12月、対米ドルや対円で1カ月半ぶりの安値を記録しました。豪ドルと同様にリスク回避の動きが強まったことがNZドル下落の主な要因ですが、NZのGDPの弱い結果もNZドルの重石となりました。

NZの7-9月期GDPは前期比+0.3%と、4-6月期の+1.0%から成長率が鈍化しました。7-9月期は約5年ぶりの低成長だったうえ、RBNZ(NZ中銀)の11月時点の見通しである+0.7%を下回りました。そのため、市場では利下げ観測が浮上しました。

NZドルは引き続き、米国株の動向に左右される展開が想定されます。米国株が下落を続ける場合、NZドルには下落圧力がかかりやすいとみられる一方、米国株が反発基調に転じれば、NZドルには上昇圧力が加わりそうです。

また、NZの10-12月期CPI(消費者物価指数)が19年1月23日に発表されます。RBNZは18年11月の金融政策報告の中で、10-12月期CPIは前年比+2.0%との見通しを示しました。足もとの原油安の影響によって、CPI上昇率はRBNZの見通しを下回る可能性があります。その通りになれば、市場でRBNZの利下げ観測が強まるかもしれません。利下げ観測が強まることは、NZドルにとってマイナス材料です。

カナダドル】BOC政策会合で利上げ観測が再び高まるか!?

カナダドルは18年12月、対米ドルで約1年7カ月ぶり、対円で約9カ月ぶりの安値を記録しました。カナダドルが下落した背景には、原油安BOC(カナダ中銀)の利上げ観測の後退があります。

供給過剰の懸念から、原油価格には下落圧力がかかっており、代表的な指標である米WTI先物は18年12月、1年半ぶりの安値をつけました。原油はカナダの主力輸出品であるため、原油価格の下落はカナダドルにとってマイナス材料です。

BOCの利上げ観測が後退したのは、BOCが12月5日の会合時の声明で、追加利上げの必要性に言及しながらも、利上げペースが今後鈍化することを示唆したためです。

カナダドルが下げ止まるには、原油安に歯止めがかかる、あるいはBOCの利上げ観測が再び高まる必要がありそうです。原油価格の動向に引き続き目を向けるとともに、19年1月9日のBOCの政策会合に注目です。

原油安やポロズ総裁の足もとの発言を踏まえると、BOCは政策金利を現行の1.75%に据え置く可能性が高いとみられます。その通りになれば声明の内容、とりわけ政策金利を将来的に中立水準まで引き上げる必要があるとの見方が維持されるのか3月の会合で利上げの可能性があることが示されるのか、それらが焦点になりそうです。声明が市場の3月利上げ観測を浮上させる内容になれば、カナダドルは上昇するとみられます。

トルコリラ】TCMB政策会合が重要

18年12月のトルコリラは底堅い展開でした。その理由として、以下のことが挙げられます。

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原油価格の下落。トルコは必要な燃料の大半を輸入に依存しています。そのため、原油価格の下落によって輸入コストが低下し、さらにはインフレ圧力を緩和する可能性があります。高インフレはトルコが抱える問題のひとつです。

トランプ米大統領が米軍のシリアからの撤退を決定。トルコ政府はシリア国内のクルド人勢力を掃討するため、同国のユーフラテス川の東側で軍事作戦を開始する方針を示しています。市場では、トルコ軍が作戦を開始すれば、クルド人勢力を支援する米軍と衝突するとの懸念がありました。

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シリア情勢には引き続き注意が必要かもしれません。米国のシリアからの撤退はトルコリラのプラス材料になっているものの、米軍の撤退によって同国情勢が混迷するとの懸念もあるためです。

トルコの18年12月のCPI(消費者物価指数)が19年1月3日に発表され、TCMB(トルコ中銀)の政策会合が1月16日にあります。それらの結果がトルコリラの動向に影響を与える可能性があります。市場ではTCMBが早期に利下げを行うとの観測があります。TCMBが1月の会合で利下げを行う、あるいは政策金利を据え置いたとしても、声明の内容が将来の利下げを示唆するものになれば、トルコリラには下落圧力がかかりそうです。一方、政策金利を据え置き、かつ声明でインフレの抑制を重視する姿勢を維持すれば、トルコリラは上昇する可能性があります。

南アフリカランド】米株が下落を続ければ、一段安の可能性あり

南アフリカランドは18年12月、対米ドルで1カ月半ぶり、対円で約3カ月ぶりの安値を記録しました。その背景として、米国株の下落によってリスク回避の動きが強まったことが挙げられます。リスク回避は新興国通貨への下落圧力となります。

南アフリカランドは米国株の動向に左右される展開になっており、その状況は当面続きそうです。米株安が進行した場合、南アフリカランドには下落圧力がかかり、対円では7.41(18/9/18安値)に向けて下がる可能性があります。

南アフリカの目先の主要経済イベントは、19年1月15-17日のSARB(南アフリカ中銀)政策会合です。政策金利は現行の6.75%に据え置かれそうです。

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八代 和也 マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト

八代和也

マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当 2001年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエア入社。市場調査部に所属し、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨にフォーカスした「オセアニア・レポート」を執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。