資源・新興国通貨2/18-22の展望] 南アフリカの国営電力会社に経営危機。政府による再建計画次第でランドは一段安も!?

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の来週を展望します。

豪ドル

RBA(豪中銀)議事録が2月19日に公表され、豪州の1月雇用統計が21日に発表されます。それらが豪ドルの動向に影響を与える可能性があります。

RBAのロウ総裁は6日に講演を行い、「次の政策変更は、利上げと利下げのいずれもあり得る」と語り、金融政策スタンスのシフト(「引き締めバイアス」から「中立」へ)を示唆しました。また、RBAは8日に金融政策報告を公表し、2019年と2020年の豪GDP成長率やインフレ率の見通しを18年11月時点から下方修正するとともに、豪住宅市場の減速がかなりの不確実性をもたらしているとの見方を示しました。

19日の議事録は金融政策報告などに沿った内容になるとみられますが、金融政策の先行きについて新たに材料が提供された場合には豪ドルが反応しそうです。

RBAの金融政策の先行きを予想するうえで、21日の雇用統計はこれまで以上に重要と考えられます。ロウ総裁は6日に「失業率の上昇が持続し、インフレ率が目標に近づかなければ、ある時点で利下げが適切になる可能性もある」との見解を示したためです。雇用統計(失業率、雇用者数)が弱めの結果になれば、市場ではRBAの利下げ観測が強まり、豪ドルは下値を試す展開になる可能性があります。

NZドル

RBNZ(NZ中銀)は2月13日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置くことを決定しました。

声明では、前回の会合(2018年11月)で削除した「政策金利の次の方向性は、上向きか下向きの可能性がある」との文言が復活しました。

声明は、「貿易相手の成長が急激に減速するリスクは、過去数カ月間で高まった」と指摘する一方、「世界的に(成長の)勢いが弱まっているにもかかわらず、低金利や政府支出がNZのGDP成長率が2019年に上向くのを支援すると予想しました。

RBNZは今回、四半期に一度の金融政策報告を公表。利上げ開始時期の予想を2018年11月時点の“2020年7-9月期”から“2021年1-3月期”へと後ズレさせました。

オアRBNZ総裁は会合後に会見を行い、「成長が上向かなければ利下げが必要になるかもしれない」とする一方、「利下げの確率は高まっていない」と発言。「(政策金利の)見通しは上向きと下向きで均衡している」と語りました。

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市場では、RBNZの声明やオア総裁の会見を受けて利下げ観測が後退しました。そのことはNZドルを下支えしそうです。

来週(2/18の週)は乳製品電子オークション(GDT)が19日にありますが、足もとの市場の関心は乳製品価格には向いていない感があります。前回からよほど大きな変動がなければ、NZドルのGDTの結果への反応は限定的になりそうです。

カナダドル

今週(2/11の週)のカナダドルは、原油価格の動向やカナダの製造業売上高が材料になりました。堅調な原油価格を背景に、週前半のカナダドルは対米ドルや対円で底堅く推移。ただ、14日発表のカナダの2018年12月製造業売上高が前月比マイナス1.3%と、市場予想(+0.2%)に反して減少したことで、カナダドルは対米ドルや対円で反落しました。

来週(2/18の週)のカナダドルは、引き続き原油価格の動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。原油価格(米WTI先物)については、日々上下動を繰り返しつつも、明確な方向感は出にくいかもしれません。主要産油国の協調減産による供給減が下支えする一方、世界経済の減速による需要減への懸念も根強く、その懸念が上値を抑えるとみられるためです。原油価格に方向感が出なければ、カナダドルは独自材料では動きにくいとみられ、米ドルなど他通貨の動向に左右されやすいと考えられます。

トルコリラ

トルコの2018年12月の鉱工業生産が14日に発表され、結果は前年比9.8%減と、市場予想(7.5%減)以上のマイナスを記録。4カ月連続のマイナスとなりました。鉱工業生産の結果は、トルコ経済が2018年10-12月期に低迷したことを示唆しています。

市場の関心はこれまで、TCMB(トルコ中銀)の金融政策に向いてきました。TCMBはインフレ抑制を重視する姿勢を示しており、それがトルコリラを下支えしてきました。ただ今後、市場の関心がトルコの経済情勢にも向いた場合、トルコリラは弱含む可能性があります。トルコリラについてはまた、エルドアン大統領の言動にも引き続き注意が必要です。

南アフリカランド

今週(2/11の週)の南アフリカランドは軟調に推移し、対米ドルで約6週間ぶり、対円で約3週間ぶりの安値を記録しました。“エスコム(国営電力会社)が実質破たん状態にある”との見解を南アフリカ公共企業省が示したことで、南アフリカランドに対して下落圧力が加わりました。

エスコムの経営危機によって電力供給が不安定な状況に陥っており、南アフリカでは14日まで5日連続で大規模停電が発生しています。市場では、エスコムをめぐる懸念に加え、停電が南アフリカ経済に与える悪影響も懸念されています。

ラマポーザ・南アフリカ大統領は7日、エスコムを支援する方針を示し、20日の予算案の発表時に詳細を明らかにすると表明しました。予算案でエスコムの再建に向けて市場を納得させる計画が示されなければ、南アフリカランドへの下落圧力は一段と強まる可能性があります。南アフリカランド/円の目先の下値メドは、7.67円(1/10安値)や7.51円(1/4安値)が挙げられます。

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八代 和也 マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト

八代和也

マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当 2001年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエア入社。市場調査部に所属し、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨にフォーカスした「オセアニア・レポート」を執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。