[資源・新興国通貨3/11-3/15の展望] 豪中銀の利下げ観測が一段と高まる。利下げは複数回との観測も!?

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の来週を展望します。

豪ドル

豪州の2018年10-12月期GDP(3/1発表)は前年比+2.3%と、7-9月期(+2.8%)から成長率が鈍化。2017年4-6月期以来の低い伸びを記録しました。個人消費の低迷や住宅建設の落ち込みが重石となりました。

RBA(豪中銀)は2019年のGDP成長率を+3%前後との見通しを示していますが、景気減速が浮き彫りとなったことで、RBAの見通しには届かない可能性が高まりました。

市場は“RBAの次の一手は利下げ“と見ていますが、GDPの結果を受けて利下げ観測が高まっただけでなく、複数回の利下げ観測も浮上しました。豪ドルには下押し圧力が加わりやすいとみられます。

来週(3/11の週)は、12日に豪NAB企業景況感指数(2月)13日に豪ウエストパック消費者信頼感指数(3月)が発表されます。それらが悪化した場合、RBAの利下げ観測は一段と高まり、豪ドルへの下押し圧力は一段と強まる可能性があります。

豪ドルについては、米中通商協議に関する報道にも引き続き注意が必要です。

NZドル

NZドルは今週(3/4の週)、軟調に推移し、対米ドルで約3週間ぶり、対円で約2週間ぶりの安値を記録しました。乳製品国際価格の指標であるGDT価格指数は5日のオークションで上昇したものの、そのことは市場で材料視されることなく、同じオセアニア通貨である豪ドルの下落に引きずられました。

来週(3/11)は、NZの主要経済指標発表が予定されていません。そのため、NZドルは引き続き、外部材料に影響を受けやすい地合いになりそうです。豪ドルが下落を続ける場合、NZドルは連れ安する可能性もあります。

カナダドル

BOC(カナダ中銀)は3月6日、政策金利を1.75%に据え置くことを決定。据え置きは、3会合連続です。

声明では、2018年第4四半期のカナダ経済の減速は予想以上だったとしたうえで、「2019年上半期の経済は1月時点の予想よりも弱くなる」と分析との見方を示しました。

BOCは今回、フォワードガイダンス(金融政策の方向性をあらかじめ示したもの)を修正。これまでの「インフレ目標を達成するため、政策金利を時間をかけて中立レンジまで引き上げる必要がある」との文言を削除し、「見通しは引き続き中立レンジを下回る政策金利を正当化する」へと変更しました。そのうえで、「将来の利上げ時期についての不確実性が高まった」と指摘し、家計支出や原油市場、世界貿易の動向を注視していくとしました。

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BOCが利上げバイアスを弱めたことで、市場ではBOCの利上げ観測が後退しました。そのことはカナダドルにとってマイナス材料であり、カナダドルは目先、上値が重い展開になりそうです。

ただ、BOCは現時点で利下げは選択肢にはなく、次の政策変更は依然として利上げとみているようです。声明は「将来の“利上げ”時期についての不確実性が高まった」と利上げに言及する一方、利下げへの言及はありませんでした。

米FRBが利上げ休止を示唆し、ECB(欧州中銀)は金融緩和を強化する姿勢を示しました。一方で、BOCは利上げの可能性を残しています。こうした金融政策の方向性の違いが市場で意識されれば、カナダドルは上昇基調に転じる可能性があります。

トルコリラ

TCMB(トルコ中銀)は3月6日、政策金利を24.00%に据え置くことを決定しました。

声明では、前回1月と同様に「インフレ見通しが大幅に改善するまで、引き締め的な金融政策スタンスを維持する」、「必要に応じてさらなる金融引き締めを行う」と表明しました。TCMBがインフレ抑制を重視する姿勢を改めて示したことは、トルコリラの支援材料と考えられます。

ただし、市場では米国とトルコの関係をめぐる懸念が再燃しました。米国はトルコに対してS-400(ロシア製の地対空ミサイル)を購入しないように求めていますが、エルドアン・トルコ大統領が6日に「S-400を購入する方針は絶対に撤回しない」と語ったためです。両国の関係悪化は、トルコリラにとってマイナス材料です。

南アフリカランド

南アフリカの2018年10-12月期GDP(3/5発表)は前期比年率+1.4%でした。成長率は7-9月期の+2.6%から鈍化したものの、2四半期連続でプラス成長を記録。南アフリカ経済が持ち直しつつあることが示唆されました。GDP統計の結果は、南アフリカランドにとってプラス材料と考えられます。

一方で、ラマポーザ大統領が7日、SARB(南アフリカ中銀)の国有化を推進すると発表しました。これを受けて、市場では“国有化されればSARBの独立性が脅かされるとの懸念“が浮上し、南アフリカランドは7日に下落しました。SARBの独立性をめぐる市場の懸念を一段と強めるニュースが新たに出てくれば、南アフリカランドに対してさらなる下落圧力が加わる可能性もあります。

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M2TV(マーケットView)『6日、BOCが政策金利を発表。カナダドルの行方は!?』
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八代 和也|マネースクエア シニアアナリスト

八代 和也

2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエアに入社。 豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソについて分析し、マネースクエアのWEBサイトにてレポート(「ウィークリー・アウトルック」、「デイリー・フラッシュ」など)配信のほか、動画コンテンツ「M2TV」出演、セミナー講師を務めている。