[資源・新興国通貨5/20-24の展望]豪中銀は6月利下げの可能性も…

本稿では、個人投資家の関心が高い、資源・新興国通貨の来週を展望します。

豪ドル

豪州の4月雇用統計(5/16発表)の結果は、失業率が5.2%、雇用者数が2.84万人増でした。失業率は3月の5.0%から悪化し、8カ月ぶりの高水準を記録。一方、雇用者数は9カ月連続で増加したものの、フルタイム雇用者が0.63万人減少しており、雇用増はパートタイム雇用者が中心でした。

RBA(豪中銀)は、“労働市場の改善とともに賃金の伸びが緩やかに高まり、インフレ率は目標に向けて緩やかに上昇する”との見方を示しつつ、失業率が改善しない場合には利下げを検討する姿勢も示しています。

今回の雇用統計では、失業率の悪化に加え、フルタイム雇用者数が減少しました。それらは賃金の伸びが今後も低迷することを示唆しており、RBAが利下げを行う確率は一段と高まったとみられます。RBAは6月4日の次回会合時の声明でハト派色を強めるだけでなく、利下げに踏み切る可能性も出てきました。

5月21日にRBA議事録(5/7開催分)が公表されます。それが利下げ観測を一段と高める内容になれば、豪ドルには下落圧力が加わるとみられます。

18日(土)の豪州の総選挙も材料になる可能性もあります。世論調査では、最大野党の労働党が与党の保守連合(自由党と国民党)がわずかにリードしており、約6年ぶりの政権交代が実現するかもしれません。仮に労働党と保守連合のいずれも過半数を獲得できなかった場合、豪政治の先行き不透明感から豪ドルが下落しそうです。

NZドル

RBNZ(NZ中銀)は5月8日の会合で0.25%の利下げに踏み切るとともに、来年にかけて追加利下げを行う可能性を示しました。

NZの1-3月期の小売売上高が5月22日に発表されます。RBNZは当面、5月に実施した利下げの効果を見極めると予想され、今回の小売売上高の結果だけで利下げに動く可能性は低いとみられます。それでも、小売売上高が弱い結果になって消費の低迷が浮き彫りになれば、市場では早期の利下げ観測が浮上し、NZドルの下押し材料となる可能性があります。

カナダドル

ムニューシン米財務長官は5月15日、鉄鋼・アルミニウムの追加関税の対象からカナダとメキシコを外す可能性があるとの認識を示しました。カナダが追加関税の対象から外されれば、カナダドルにとってプラス材料と考えられます。対象除外への期待がカナダドルを下支えする可能性があります。

カナダの経済指標では、22日の3月小売売上高に注目です。世界経済の減速を背景に、市場では“BOC(カナダ中銀)の次の一手は利下げ”との観測もあるなか、小売売上高が堅調な結果になれば、利下げの確率は低下したとの見方が強まり、カナダドルが上昇しそうです。

トルコリラ

トルコリラは今週(5/13の週)、比較的落ち着いた展開でした。当局が前週にトルコリラの下支えに動いたためと考えられます。TCMB(トルコ中銀)は5月9日から1週間物レポ入札を中止(利上げと同じ効果)したほか、国営銀行が米ドル売り・トルコリラ買いを行ったとの観測もあります。

ただ、米国とトルコの関係悪化TCMBの外貨準備高減少への懸念トルコ政治の不透明感(イスタンブール市長選の再選挙)など、トルコリラにとってのマイナス材料は残存しています。トルコリラ安は足もとで一服しているものの、いずれ下落する可能性はあります。

南アフリカランド

南アフリカ選挙管理委員会は5月11日、総選挙(下院定数400)の公式結果を発表。与党ANC(アフリカ民族会議)の議席は230と、前回2014年(249)から19議席減少したものの、過半数を維持しました。現政権が継続し、政治の先行き不透明感が払しょくされたことは、南アフリカランドにとってプラス材料と考えられます。

ただ、市場の関心は今後、ラマポーザ大統領による経済改革へと向かうとみられます。5月27日に発表される予定の新内閣の陣容、特に財務相や公共企業相に誰が起用されるのかに注目です。ムボウェニ財務相やゴーダン公共企業相が留任した場合、ランドの上昇要因になる可能性があります。

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八代 和也 マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト

八代和也

マネースクエア 市場調査部 シニアアナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当 2001年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年12月、マネースクエア入社。市場調査部に所属し、豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨にフォーカスした「オセアニア・レポート」を執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。