「トランプ脱税」報道の持つ意味

【著者】

【相場材料】NYT紙がトランプ大統領の過去の脱税疑惑を報道
【影響】中間選挙で共和党がますます不利に!?
【ポイント1】大統領が罪に問われることはなさそう
【ポイント2】大統領の経営手腕が疑問視

2日、NYT紙(ニューヨークタイムズ)がトランプ大統領の過去の脱税疑惑を大々的に報じました。

NYT紙の記事によれば、トランプ大統領は、両親から生前贈与や遺産として現在価値で4.13億ドルを受け取ったが、そのほとんどが90年代に不適切または違法な手段を用いたもので、適正な税金を納付していないということです。

NYT紙の報道を受けて、ニューヨーク市の税務当局は、様々なルートから本件を調査すると発表しています。

もっとも、脱税が行われたとしても、20年以上も前のことであり、時効などの理由で大統領が罪に問われる可能性は低そうです。2016年11月の大統領選挙直前にも、トランプ候補の別件の脱税疑惑が報じられましたが、そこからは特に進展はなかったようです。

また、「反逆罪、収賄罪、その他の重大な犯罪及び不法行為」という議会が弾劾裁判を開始する要件に該当するかも微妙なところでしょう。

ただし、以下の2点では今後の政局に影響を与える可能性があります。
まず、11月6日に投開票を迎える中間選挙に向けて、政権党である共和党にとって大きな向かい風になる可能性があるという点です。中間選挙では、民主党が下院で過半数を奪う可能性が高く、上院を奪う可能性も出てきた中で、本件は民主党を後押しするかもしれません。

次に、大統領の資質の問題です。2016年の大統領選挙の前から、トランプ氏は、父親からもらったわずかな資金を元手に帝国を築き上げたと吹聴してきました。しかし、そのサクセスストーリーが全くのデタラメだった可能性が出てきました。「成功したビジネスマン」としての大統領の経済運営能力が疑問視され、一段と求心力を失うかもしれません。

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西田 明弘 マネースクエア 市場調査部 チーフエコノミスト

西田明弘

1984年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストを歴任。 2012年9月、マネースクエア入社。市場調査部チーフアナリストに就任。現在、M2JのWEBサイトで「市場調査部レポート」、「スポットコメント」、「今月の特集」など多数のレポートを配信。