【NY市場】ドル円は110円台が依然重い 世界経済と米中協議への懸念強める

 きょうの市場はリスク回避の雰囲気が広がる中、為替市場はドル買いが一服していた。市場は世界経済と米中貿易協議への懸念を強めている。世界経済については、欧州委員会の発表でユーロ圏の景気減速への懸念を更に強めたことがきっかっけとなった。欧州委員会はイタリアやドイツをはじめ域内主要国の成長率予想を軒並み下方修正した。

 米中協議については、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長の発言や米CNBCの報道がきっかけとなった。クドロー委員長は「貿易協議で米中はなお相当の隔たりがある」と述べたほか、米CNBCは関係筋の話として、米中首脳会談は関税の期限である3月1日より前に実現する可能性が極めて低いと報じていた。その後、トランプ大統領も「関税引き上げ期限前に習主席と会談することはない」と述べている。ただ、習主席とはその後に会談はする可能性にも言及していた。
 
 ドル円は一時109.60円近辺まで下落。ただ、下押す動きまではなく水準は堅持されている。ただ、きょうも110円台を試す場面が見られたものの、またしても上値を拒まれている。110円付近にはオプション絡みの売りオーダーも観測されていた。

 リスク許容度は改善しているものの、FRBがハト派姿勢に転じる中、依然として110円台に慎重な雰囲気に変化はない。ドルは買われてはいるものの、消去法的な買いで力強さはなく、ドル円も底堅いものの上値は重い。きょうは上げが一服し戻り売りに押されているが、株式市場がもう一段の上値を試すようであれば、110円台突破もチャンスがあるかもしれない。下値は21日線が109.30円付近に来ており、サポートして意識される。

 ユーロドルはNY時間に入って買い戻しが膨らみ、1.13ドル台半ばまで戻した。ただ、きょうは1.13ドル台前半まで下落する場面も見られた。欧州委員会はイタリアの今年の成長見通しを1%ポイントも引き下げ0.2%とした。今年のユーロ圏経済の成長率も1.3%と従来の1.9%から下方修正し、2020年の見通しも1.6%に下方修正した。

 ユーロドルは今週に入って戻り売りを加速させており、目先は1月安値の1.13ドルちょうどが意識される。12月、11月も強いサポートとなっていた。

 市場はECBの利上げ期待を大きく後退させている。きょうも欧州系大手銀から、ECBの利上げ見通しをの下方修正が出ていた。外需の減速が域内の消費に波及し始めていると指摘している。ECBは現在の景気減速が一時的か否か見極める必要があるという。金融機関の収益への悪影響もありECBは、現在マイナス金利を適用している中銀預金金利を引き上げたがっている。ドラギ総裁の任期は10月で終了だが、現状からは任期中の利上げは厳しい情勢になってきているようだ。なお、市場は2020年6月に0.1%の利上げで織り込んでいる状況。

 ポンドは買い戻しが膨らみ、ポンドドルは心理的節目の1.30ドル手前まで上昇する場面が見られた。きょうは英中銀金融政策委員会(MPC)とインフレ報告が発表になっていた。英中銀は今年と来年の成長見通しを下方修正している。英EU離脱協議の不透明感と輸出の需要減速を理由として指摘した。

 発表直後はポンド売りが強まり、ポンドドルは一時1.28ドル台半ばまで下落。しかし、売りが一巡すると直ぐに買い戻しが強まった。下方修正は想定内だったことや、従来の利上げ見通しを温存したことがポンドの買い戻しを誘発したようだ。ポンドドルは一時100日線を下回る動きも見せたものの、今度は21日線付近まで反転している格好。

 なお、きょうはメイ首相とユンケル欧州委員長の会談が行われた。メイ首相はバックストップ案に具体的な期限を入れるよう求めているようだが、ユンケル委員長は再交渉はしたくない意向を示したようだ。予想通りEUは再交渉に難航を示し、今回は具体的な成果はなかったようだ。英政府によると、今月中にまた会談を行う予定だという。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

野沢卓美 | minkabu PRESS編集部

野沢卓美 | minkabu PRESS編集部

minkabuPRESS編集部所属