【NY市場】明日のイベント前にドル売り強まる 景気の先行きや貿易問題も重石に

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は一時111円台を割り込む場面も見られた。きょうは円高の動きも加わっている。米株式市場が下落したほか、米国債利回りも下げており、ドル円を圧迫。

 景気の先行きや貿易問題が重石となった。トランプ政権がEUによるエアバスへの助成金に関連して110億ドル相当のEUからの輸入品に関税賦課を検討していることが伝わったほか、IMFが今年の世界経済の見通しを3.3%に下方修正し、金融危機以来の低水準に修正した。また、市場では今週から始まる米企業決算への警戒感も高まっている模様。2016年第2四半期以来の減益決算が見込まれている。

 また、明日は4つの重要イベントが重なるビック・ウェンズデーとなる。欧州ではEU首脳会談とECB理事会、そして、米国では米消費者物価指数(CPI)とFOMC議事録の発表が予定されており、ポジション調整も活発に出ていたようだ。

 市場では年内の利下げを6割程度の確率で織り込むなど、利下げ期待が高まっている。FRBはまだ年内の利下げ期待には言及していないが、その可能性が高まるようだとドルは圧迫されると見ているのかもしれない。ただ、市場は米経済の景気後退まではまだ織り込む動きは見られていないようだ。

 ドル円は200日線を再び下回り21日線付近まで下落。戻り売りが更に強まるか警戒される動きも出ているが、目先は100日線が110.90円付近に来ており意識される。

 ユーロドルは買い戻しが優勢となった。ユーロドルは1.1280ドル近辺まで一時上昇し、21日線に顔合せする動き。トランプ政権の関税賦課検討の発表も、きょうのところはユーロへの反応は限定的で、ネガティブな影響は自動車ほどは広がらないとの見方も出ているようだ。しかし、今後の展開次第ではユーロの上値を重くするとの指摘も聞かれた。

 明日のECB理事会だが、ユーロ相場の方向感に大きな影響は与えないであろうと見られている。一部からはマイナス金利の銀行への悪影響を軽減するため、マイナス金利を導入している預金金利に階層措置が導入されるとの見方も出ていた。しかし、今回はECBは動かないとの予想が多い。ただ、ドラギ総裁の会見は注目で、9月復活予定の長期リファイナンスオペの詳細や、直近の経済指標への見解、そして、預金金利の階層的措置に関する言及が注目されるとしている。

 ポンドはNY時間に入っても売りが続き、ポンドドルは1.30ドル台前半、ポンド円は144円台に下落。ロンドン時間にはドイツのメルケル首相がバックストップに5年の期限を設定することを提案したとの報道が流れ買いが強まる場面も見られたが、ドイツ政府が否定して来たことから一時的な動きに留まっている。NY時間に入ってスラック英首相報道官が、「明日のEU首脳会議の前にメイ首相がツスクEU大統領と会談し、英国は最も期間の短い延期を求める」との発言が伝わったことでポンド売りが強まった。

 合意なき離脱は回避されるとの慎重にして楽観的な見通しからポンドは底堅さも見られているもののきょうは、明日のEU首脳会議を前にしてロングの調整が強まっている模様。このところ政治イベントに焦点が集まっているが、経済のファンダメンタルズへの影響も計り知れない。

野沢卓美 | minkabu PRESS編集部

野沢卓美 | minkabu PRESS編集部

minkabuPRESS編集部所属