【NY市場】原油の上げ一服でドル買い戻し ドル円は200日線を回復

 きょうのNY為替市場はドル買い戻しが優勢となった。朝方発表された米生産者物価(PPI)や新規失業保険申請件数をきかっけにドルは買い戻しを強めた。このところドルの上値を抑えていた原油の上げがきょうは一服しており、米国債の上げと伴にドルをサポートしたようだ。

 ドル円はNY時間に入って一本調子の上げとなり、111円台半ばの200日線を回復している。ファンド勢の買いなどが観測されていた。前日の水曜日は重要イベントが重なったビック・ウェンズデーとなったが、波が立つことなく無難な通過となった。FOMC議事録ではFRBの慎重姿勢が示される一方で利下げのヒントまでは無く、臨時のEU首脳会談では英EU離脱期限の10月末までの延長が決まった。英EU離脱に関しては不透明感がこの先も続くことになるが、ひとまず合意なき離脱のリスクは後退しており、ドル円にとってはポジティブな材料となった模様。

 ユーロドル戻り売りが優勢となり、1.1250ドル付近まで下落。21日線が1.1280ドル近辺に来ているが、その水準で上値を抑えられている格好。きのうはECB理事会が開かれ、ドラギ総裁の会見も行われた。前回同様に景気の下振れリスクを強調するなど、ハト派な雰囲気を強調していが、注目だったマイナス預金金利の階層設定に関しては必要なら検討するとの表現に留まっている。ドラギ総裁は銀行への悪影響からマイナス金利政策の修正に前向きとも言われているが、理事たちの反対が強かったものと思われる。市場では階層設定を実施すれば、逆に低金利の長期化につながり、ユーロにとってはネガティブとの見方も出ていた。

 次第にユーロの先行きに対しても見解が分かれて来ているようだ。たとえ階層設定を実施してもユーロは買い戻しがしばらく続くとの見方が出ている。直近の経済指標の悪化は底にあり、今後はボトムアウトして行く。その一方で米経済の減速が進み、ユーロドルにとっては追い風の状況になるという。秋にかけてユーロドルは1.15ドルまで上昇の可能性もあるとしている。一方、このところのユーロの戻りはショートカバーの範囲で、あくまで一時的な動き。ECBのハト派姿勢がいずれユーロを圧迫するとの見方も出ている。欧州議会選挙も来月に控えており、英EU離脱の動向も依然として不透明な中で、ユーロは上値の重い展開を強いられるとしている。

 ポンドドルは1.30ドル台半ばに下落。メイ首相と野党労働党のコービン党首がきょう、協議を行っており労働党は声明で、与党保守党と妥協点を見つけ出す協議を続けていることを明らかにした。メイ首相側によると、明日、閣僚と労働党の影の内閣がそれぞれ会合を行うという。

 きのうのEU臨時首脳会合では10月末までの離脱延期が決定された。メイ首相は6月末までの延期を希望していたが、それよりも長い延期となる。ポンドにとっては一見ポジティブな内容のようにも見えるが、英議会からのメイ首相に対する圧力は高まりそうで、場合によっては政権打倒の声が強まるとの見方も出ている。予想よりも長期の延期ではあるが、その分、不透明な状況も長期に及ぶ。

 英経済に対する影響も危惧される中、少なくとも英中銀による年内の利上げはないことが確実視されており、素直にポンド買いで反応する局面でもなさそうだ。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

野沢卓美 | minkabu PRESS編集部

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