【NY市場】ドル円は依然として上値重い ユーロが買戻しを加速

 きょうのNY為替市場で、ドル円は序盤こそ買戻しが見られたものの依然として上値が重い。ドル売りの流れが続く中、序盤の買い戻しはトランプ大統領のイランに関する発言がきっかけとなっていたようだ。大統領は、イランに対する3箇所への空爆を承認したが、軍司令官に何人(イラン兵)が死ぬかと尋ねたところ、150名との答えに、米無人機撃墜に対する報復としては、相応ではないと判断し中止したという。一時107.70円近辺まで上昇したものの、上げを維持できずに後半は戻り売りに押された。

 米商務省が中国の5団体をブラックリストに追加したと伝わったことや、中国の環球時報が、米国が関税を維持するなら中国は合意しないと伝えたこともドル円を圧迫していた模様。

 きょうは107円ちょうど付近まで一時下落した。この動きに一部からは105円を視野に入れるとの声も出ている。ドル円には2重の逆風が吹いている。今週のFOMCを通過して市場は早期の利下げを確信しおり、ドル売り圧力は続いている。加えてドル円にはイラン情勢の緊迫化という新たな懸念が台頭して来ている。今回は中止になったとはいえ、軍事行動の可能性は今後も燻る。

 今週の日銀決定会合後の黒田総裁の会見からは、ドル円が105円を下回るようであれば、日銀が対応する可能性もありそうだが、日銀の追加緩和余地は既に小さく、効果に疑問もある中、ドル円は上値の重い展開が警戒されている。

 ユーロドルは買い戻しが強まり、1.1375ドル付近まで上昇する場面が見られた。ロンドン時間に発表された6月のユーロ圏PMI速報値が7ヵ月ぶりの高水準に達し、景気減速で最悪期は過ぎた可能性を示唆しているとの指摘も出ていた。きょうの上げで200日線を回復している。現値が200日線の上を回復するのは2018年5月以来。

 ただ、ECBの追加緩和への期待は根強い。ドラギ総裁は今週のポルトガルでのシンポジウムで緩和姿勢を一段と強調していたことから、市場には追加緩和期待が高まっている。追加緩和の手段としては、フォワードガイダンスの強化、量的緩和の再開、利下げなどが挙げられている。

 政策金利については0.2%の引き下げが期待されているほか、量的緩和については、国債の追加購入が想定されるが、ECBが現在とっている発行残高の33%までを上限とするルールを撤廃するとの見方も出ているようだ。例えば50%に引き上げた場合、1.3兆ユーロの緩和余地が生まれるとの試算も出ているようだ。

 ドル売りが続く中、ポンドドルも買い戻しが優勢となっている。ロンドン時間に1.2650ドル近辺まで下落する場面も見られ、21日線を下回る動きが見られていたものの、NY時間に入ると、FOMCメンバーの発言や米製造業の景況感指標が弱い内容だったことで、再びドル売りが強まりポンドドルは買い戻しを強めている。21日線にサポートされた格好となり、リバウンドの流れを堅持している。

 ただ、ポンド自体に関しては状況に変化はない。前日の英保守党党首選ではジョンソン前外相とハント外相が決選投票に駒を進めた。明日から全国16万人の保守党員に向け、1ヵ月間の選挙活動が開始される。その間に郵送による投票が実施され、結果は7月22日に判明する予定。いまは一服しているが、その辺に再び市場の注目が集まるようであれば、ポンドは上値が重くなる可能性もある。6月前半に上値を拒んだ水準が1.2765ドル近辺にあるが、目先はその水準を試すか注目される。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

野沢卓美 | minkabu PRESS編集部

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