GPIF6月末の運用総額は、3月末から6869億円増の、127兆2640億円

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FXコラム|2014/09/02

GPIF2014年6月末の運用総額は、3月末から6869億円増の、127兆2640億円だった。国内株保有残高は21兆9709億円、資産構成割合17.26%と、2006年3月末以来の高水準となった。国内債は67兆9102億円で、構成割合53.36%と比較可能な2001年12月末以降で最も低くかった。外債の保有残高は14兆0726億円と構成割合11.06%。外株は20兆3366億円で15.98%。両資産ともに残高、構成比の両面で過去最高を記録した。短期資産は2兆9737億円で2.34%だった。

GPIF

現在の資産構成目標は、国内株の目標値が12%、国内債60%、外債11%、外株12%、短期資産が5%。目標値からの乖離許容幅は国内株は上下6%ずつ、国内債が8%ずつ、外債と外株は5%ずつとなっている。

また、運用資産全体の累積収益額は自主運用を始めてから13年余りで37兆6650億円に膨らんだ。

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参照:平成26年度第1四半期運用状況
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h26_q1.pdf

GPIFの収益増は主に株高、円安からもたらされている。それも当然で、1%以下の国内債運用では、運用コストも賄えないからだ。人件費だけでなく、資金を保管して貰っている信託銀行への手数料も大きい。

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そのことが、この四半期も収益額が2兆2235億円となっているのに、運用資産は6869億円しか増えていない理由かと思われる。収益がマイナスの時には、運用資産はそれ以上に減っているので固定コストだといえる。この運用状況の概況で見る限り、収益率、収益額はそういったコストを反映していない。コストは運用資産の増減で知れるばかりだ。

平成25年度の収益率は8.64%(修正総合収益率9.27%、時間加重収益率9.23%)、収益額は10兆2207億円に対し、運用資産は平成24年度末の120兆4653億円から、6兆1118億円しか増えていない。差額4兆1089億円をGPIFの運用総コストだとみなすと、年度末の運用資産126兆5771億円の3.25%となる。これで利回り0.5%の10年国債の運用では、ローリスク・ローリターンどころか、2.75%のマイナスリターンだ。平成24年度末の国内債券比率61.81%、74兆4586億円の運用で、2兆0476億円の確定損失という、とんでもないリスクだと言える。

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仮に運用コストが1年で4兆円余りだとすれば、13年と1四半期で55兆円近くにもなる。ここで累積収益額が38兆円足らずだということは、実質コスト割れで赤字運用してきたということだ。資産の大半をコスト割れの国内債で運用してきたのだから、納得がいく。

10years bond

この1年、この四半期はコストを上回る運用ができている。その収益増は主に株高、円安からもたらされている。GPIFがこれから何をすべきかは、これだけで明らかだ。過去の運用損は仕方がない。今後はプラスになるよう、少なくとも努力して、これ以上の国民負担がないようにして貰いたい。

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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。