オプション

【著者】

私のコメントにオプションが出ないので、オプションをどう思うかと聞かれた。私もオプションはもちろん使ったことがあり、基本的なことは理解しているが、今、どのようなオプションが人気となっているかは知らない。

私がコメントでオプションを扱わない理由は2つほどある。

まず、私はコメントを書く時、

1、私にしか書けないこと(例えばTPA理論や、そこからの見方など)
2、私が独自、あるいは違った見方を提供できるもの(例えばウクライナ、ロシア問題、ユーロの構造問題など)
3、専門家ならではの解釈(例えば金融相場やインフレ政策、年金など)

などを提供するようにしている。オプションについては、私よりはるかに詳しい人たちがいるので、1、2、3のどれにも当て嵌まらない。

次に、私はオプションにそれほど魅力を感じていない。

先に、私はオプションを使ったことがあると書いたが、戦績は収益に限れば圧勝だ。勝率は完敗に近い。オプションに詳しい人たちなら、これだけで私がどのような使い方をしてきたかを、あるいは推測可能かもしれない。
元証券会社の営業マンで小説家となった黒岩重吾は、相場の秘訣を「勝ったら止める。二度と手を出さない」と言ったが、オプションに関しては、私はそのような使い方をした。プロは収益が余ることがあるので、余剰収益でプレミアムの買いだけを行った。

私は相場にはKISSでアプローチしている。Keep It Silly Simple で単純明快をモットーにしている。売り買い両建ての裁定取引や、組み合わせオプションなどは、モットーから外れることになる。

投資物件はどのように組み合わせても、最後のリスクは相場の上げ下げに行き着く。組み合わせると、10の利益と9の損失、あるいは9の利益と10の損失のような損益構造となる。1だけを売買するのと、損益構造は同じなのに、売り買い合わせて、20倍の信用リスクや流動性リスクを負うことになる。それだけではない。相場の上げ下げリスクがぼやけてしまうために、間違った場合の損切りなどの判断が遅れるのだ。

証券会社などがオプションや、組み合わせ取引を多用するのは、顧客を抱えているために流動性リスクを味方にすることができるからだ。つまり、ビッド・アスクが大きいほど、高く売り、安く買うことができる。

オプションや現物の組み合わせで、長期間にわたって儲けている個人投資家もいるとは思う。数学的な頭の人たちにとっては、組み合わせそのものが楽しいので、それで儲けられるのだから、一石二鳥だ。とはいえ私は、そういった人たちがKISSアプローチすれば、実はもっと儲けられると思っている。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。