FXコラム

現役世代だけでなく、年金の受給者にも着実に負担を求める!

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FXコラム|2014/06/18

先日、私は日本の年金制度はリスクを取らねば破綻すると述べた。

「経済成長は誰かがリスクを取ることによって叶う。(公的年金の財政検証結果の)8つのケースの前提は-0.4%から+1.4%だが、官民がリスクをうまくとれば、それ以上の経済成長率も可能だ。それ以上に可能なのは、うまくリスクを取れば、運用利回りを格段に向上させることができるのだ。リスクを取らねば、日本の年金制度は破綻するが、うまく取れば、安定する。」

参照:リスクを取らねば事実上、破綻する日本の年金制度
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/pension-system-in-japan/

ところが、厚生労働省はそういったリスクを取らずに、年金制度を存続させる模様だ。公的年金の給付が来年度から減額される見通しとなった。

「厚生労働省は公的年金の給付水準を物価や賃金の動向に関係なく、名目で減額になる場合でも毎年度0.9%分を削減する方針。改革後は、例えば物価の伸びが0.5%にとどまった場合、翌年度の年金は物価上昇率から削減率0.9%を差し引き、前年度より0.4%少ない額を支給する。物価がマイナス0.2%のデフレ状況なら、翌年度の年金は1.1%減る。この削減率は平均余命の伸びや現役世代の加入者の減少率からはじくので、将来さらに拡大する可能性もある。

現役世代は2004年の改革に沿って保険料率を毎年着実に引き上げられている。
会社員が加入する厚生年金は2017年に保険料率が18.3%(これを労使折半で負担)になるまで0.354%ずつ引き上げが続く。改革は現役世代だけでなく、年金の受給者にも着実に負担を求めるのが狙い。」

上記では、「この削減率は平均余命の伸びや現役世代の加入者の減少率からはじくので、将来さらに拡大する可能性がある」とある。確かに、国民から取る分を状況に応じてどこまでも増やし、どこまでも払う分を減らせば、形の上の制度は存続する。実際にその給付金で生活できる人がいなくなっても、制度そのものは存続し、その制度に関わる厚生労働省の人たちの生活は安泰だといえる。

私などが年金制度の問題で腑に落ちないのは、長期にわたって実質的な運用損を出しながら、そのツケをすべて国民負担に転じるところだ。リスクを取って、失敗するのならまだ分かるが、何もせずに国民の資産を目減りさせながら、尚且つ国民負担で損の穴埋めを計るところだ。

「現役世代だけでなく、年金の受給者にも着実に負担を求める」とは、平等に聞こえるが、将来の受給者である現役世代の負担をどこまでも高めることでもある。官僚が考える「国民に良かれとする」政策は、どこまでもピントがはずれている。

とはいえ、日本の年金制度は近隣諸国を始め、他の多くの国々よりもはるかにましだ。半数以上の若者が失業しているスペインやギリシャよりもましだ。

結局、どこにいても、自分のできることを精一杯やるしかないということだろう。自己での投資運用は大きな選択肢の1つかと思う。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/6/16 「欲と恐怖」
http://money.minkabu.jp/45467
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。