FXコラム

自社株買いは、株価にプラス?

【著者】

インサイダー(企業の役員や大株主)による自社株売りは、当企業の事情を深く知る者の売りであることから、株価にはマイナスだとされる。中国の株式市場では2015年前半にインサイダーの売りが、通常の年の何倍にも上昇、その後の急落を示唆していた。

インサイダーの自社株買いは、その逆であることから、株価にプラスだと見なされている。一方でCNBCは、近年に自社株買いを行った米企業の株価がアンダーパフォームしていると報道した。

1)米企業の自社株買いが、第4四半期に過去最大を記録した。
2)しかし、自社株買いを行った企業は自社株買いを行わなかった企業に比べて、株価の上昇が鈍く、S&P1500株指数をわずかに下回った。最も大きな自社株買いを行った100社の株は、大幅にアンダーパフォームした。
3)自社株買いが増加した四半期の次の四半期からは、1株利益は株式数減少により一時的に上昇するものの、以降は減益により低下している。ROEは一貫して低下する。

参照:Companies that do buybacks do worse over time

一般的に自社株買いは、市場で流通する株式数を減少させることから、株価上昇要因だとされている。需給面ではその通りなのだが、収益力の低下を補えず、結局はアンダーパフォームしているようだ。

これは、自社株買いを行う企業が、他に資金の有効利用先を見つけられないという、事業の行き詰まり感に原因がありそうだ。

事業拡大のための資金需要から株式を発行するという点から見れば、自社株買いは資金の返却、つまり、収益力の減退と、事業の縮小を示唆しているのかもしれない。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。