FXコラム

量的緩和は間違いか?

【著者】

FXコラム|2014/08/06

日銀の追加緩和を期待する声がある一方で、異次元緩和そのものが間違いだとする声もある。前者は追加緩和をしない日銀を責め、後者は量的緩和に踏み切った日銀を責めている。日銀はやるやらないを決めることができる立場なので、いかなる場合にでも、異論や反論に向き合わねばならない。それらに対する日銀の答えは、常に政策で示されることになる。

日銀の政策が正しいか正しくないかは、最終的には国民の生活が向上し、尚且つ国家財政が健全化するかどうかで判明する。これまでの20数年間は、基本的にはどちらも悪化してきたので、どちらか1つでも改善すれば、合格点を与えられるかもしれない。

現状では、税収増により財政悪化に歯止めがかかってきているが、国民の生活が向上してきたかどうかは、評価が分かれるところだ。名目所得は僅かながらも増加傾向だが、インフレ上昇率には大きく及ばず、実質所得が大幅に減少しているからだ。また、資産インフレを享受できない層には、株高の恩恵は及ばず、格差問題が深化しているとも言える。一方で、有効求人倍率の改善は、近い将来の雇用増、所得増を暗示し、格差の是正に貢献する可能性がある。

円安の恩恵があるにせよ、下がる一方だった日本経済に、雇用市場の変化は大きい。これだけでも、私は、黒田日銀は評価に値すると見ている。

また、日銀に4年余り先行して未曾有の量的緩和を行った米連銀もそれなりの成果を出している。高給与職、中給与職の雇用増に伴い、全労働者の平均給与が上昇傾向となっている。住宅市場も改善した。また、失業保険受給者の急減は、政府の社会保障費負担を下げている。今年の税収も伸びる見込みで、7-9月期の国債発行の必要額(国が借金する必要性)が2007年同期以来の低水準となった。つまり、バランスシートが改善しつつある。

米連銀は量的緩和を未曾有と呼び、日銀は異次元と呼んだ。つまり、共に過去に前例がないリスクを取っている。しかし、危機の時に緩和策を取らずに深刻化した、ギリシャやアイルランドなどのユーロ周辺国を思い出すと、米連銀、黒田日銀を応援したくなる。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/8/4 「未来志向のエネルギー政策」
http:/money.minkabu.jp/45978

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。