カネ余りのなかでの、投資物件の物色

今週、2008年11月に開始された米量的緩和の、最後の債券買い入れが行われる。そのこともあり、この10月の株式市場は世界的に大荒れとなったが、量的緩和の終了はカネ余りの終了を意味するわけではない。

ブルームバーグは、米連銀の6年間で約4.5倍の4.48兆ドルに膨れ上がったバランスシートが、米景気に与える刺激効果は今後も続くとの見通しを取り上げた。

参照:Fed’s $4 Trillion Holdings to Boost Growth Beyond End of QE
http://www.bloomberg.com/news/2014-10-24/fed-s-4-trillion-holdings-keep-boosting-growth-beyond-end-of-qe.html

私も同じ見方をしている。量的緩和により企業、個人、ファンドはカネ余り状態となっている。これは前向きに資金を投資しようとする事情となり、その意欲を高める。一方で、少なくとも米当局からは資金供給がこれまでのような規模で供給されることはない。余っているカネは、既に株高や債券高に反映されていると見なすことができるので、どこかからの資金の流入がなければ、市場の中で資金が回ることになるのだ。10月は、世界的な景気後退懸念が米国にも悪影響を及ぼすとの懸念から、世界的に債券が選考された。

参照:荒れる10月相場
http://money.minkabu.jp/47105

今後、米シェール原油の増産、原油代替エネルギーである米シェールガスの増産、原油収入を求めるロシアやベネズエラの増産などが見込まれる。供給増によるこれらエネルギー価格の下落は、景気の下支えとなり、これは株式市場にフレンドリーだ。一方で、エネルギー価格の下落は、同時にインフレ懸念を後退させるので、債券フレンドリーとなる。加えて、地政学リスクやエボラ・アウトブレイクの懸念などで、最適な投資物件の物色が続く可能性が高い。米の利上げまでは、大きなボラティリティが続くかもしれない。

日欧の金融緩和はこれからが佳境だ。米との緩和時期のズレは、中期的な米ドル高を示唆している。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。