今週の米FRBの利上げ確率は25%?

BOAメリル9月4日━10日の投資家調査によると、FRBが今週利上げに踏み切ると回答した人は全体の25%と、8月時点の48%から低下した。第4四半期の利上げ予想は回答者の約55%だった。

また、新興国株式を「アンダーウエート」とした割合は差し引きで34%と過去最大となった。現金比率は5.5%で、2008年のリーマン・ブラザーズ破たん後につけた水準に並んだ。投資家のリスク回避が続いている。

外為市場でも、早期利上げの観測が後退し、先物市場にみるドル円ポジションはほぼスクウェアになっている。

ドル円ポジション

ところで、こういった投機資金にポジションの偏りが見られないことが、本当に市場に方向性がないことを意味するのだろうか?

相場では、ごく普通に売りが多い、買いが多いという表現を使うが、実のところ相場での売り買いは、常に同数だ。市場での取引高は、株数であろうが、売買金額であろうが、常に売り手に見合った同数、同額の買い手がいる。それを出合い、出来高と呼んでいる。

外為市場での資金フローを見ると、2015年に入っての経常黒字は1~7月で約10兆だ。黒字は外貨余剰なので、円買い圧力となるが、黒字の元となっている所得収支は必ずしも円には戻さない。経常収支に含まれ、より直接的に円相場と関わる貿易収支は1~8月上中旬までで2.7兆円の赤字となっている。これは円安圧力だ。

資本の方では、必ずしも為替オープンとは限らないが、外国人の日本株買いが1~8月で1.2兆円の買い越し。これは円高圧力。一方、日本の年金・生保の外国証券買いが1~9月第1週までで16兆円。これは概ね円安圧力となっている。他には為替市場を通るM&Aが過去最大規模となっているが、ここでも円安圧力が大きい。

これらの円売り長期資金フローに外為銀行などの投機資金が相対で取引すると、投機資金全体では円ロング・外貨ショートになる。相場では、常に売り手に見合った同数、同額の買い手がいるからだ。

それでも、円ロング・外貨ショートをカバーしないのは、利上げ確率を25%程度とみているためで、円安に行く恐れが少ないのなら、利益につながらないカバーは極力したくないのだ。

また、現金比率が5.5%で、2008年のリーマン・ブラザーズ破たん後につけた水準に並んだということは、市場は既に未曽有の金融危機を織り込んだことになる。そこまでプロの投資家たちはリスク回避なのだ。

とはいえ、現金や債券では、プロの投資家たちは、最終顧客が望むリターンを確保できない。どこかでリスクを取らねば、いつまでもプロとして飯を食ってはいけないのだ。

私は、現金比率がリーマンショック並み、低利回りの債券を買い続けているところからみて、株価が安定して上昇する時期は遠くないとみている。その為にも米は利上げを早く行い、市場の不確定要素を早急に取り除くべきかと思う。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。