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スコットランド独立の住民投票は9月18日

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FXコラム|2014/09/03

スコットランドの独立投票

大英帝国からの独立を問うスコットランドの住民投票まで2週間余りとなった。9月18日にスコットランドが大英帝国から離れると、スコットランドを除く英国のEU離脱の可能性が高まるという。

欧州諸国は日本人が一般に考えているような国家ではない。ドイツが連邦国であるように、イタリアも都市国家の集合体、フランスやスペインも異民族を抱えている。英国は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの集合国家(United)で、ウェールズ、アイルランドは民族、言語的にも別の国だ。

それでもそれぞれが共通項を頼りに統一国家を作ったのは、武力的併合に加え、数限りない戦乱を経て、小国の悲哀を味わい尽くしたからだ。欧州連合は、第二次大戦で共に完膚なきまでに疲弊した戦勝国フランスと、敗者のドイツが、共に比較小国のままでは米ソの対立で埋没するとの危機感から設立された。

英国も欧州連合に加わったが、日英同盟で破られるまでの「栄光ある孤立」の伝統に加え、米国との民族、言語的な近さから、独特な距離感を持つ主要構成国となった。決定的だったのは、通貨統合への不信感から、ユーロへの参加を見送ったことだ。

英国は「財政、年金、社会保障などの統一なしには、単一の通貨、金融政策は時間の問題で破綻する」という見方でいる。実際、平時にはユーロフォリア(ユーロの熱狂的陶酔)は保てたが、アイルランド、スペインを襲った米サブプライムショック、1年後のリーマンショック、更にギリシャの債務危機などで、通貨統合の弊害が証明された。単一の金融政策では、個々の国々の問題には対処できず、結果的にドイツに適した金融政策となったからだ。そして、英国は米ソ冷戦がなき今、欧州連合そのものにも懐疑的だ。

私は、ユーロがうまく行くと、欧州諸国内の国家分裂が進むと見ていた。イタリアの北部リーグなどは、以前から貧しい南イタリアを切り離そうとしていたし、南イタリアは、ユーロ政府とイタリア政府(北部リーグ)による2重の支配とコスト負担よりは、ユーロ政府だけの方がコスト面でも規制などの活動面でも負担が減ると思われたからだ。しかし、ユーロ政府の設立にはドイツが前向きでないこともあり、望み薄になってきている。

スコットランドの少なからずの人々が、なぜイングランドよりも、機能しているとは思えないEU、ユーロを選びたいのかは、私には分からない。ウクライナの武力勢力がロシアよりも、西側を選んだように、感情的な「わだかまり」が強いのかもしれない。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。