マーケット

リスクオンモード強まる

【著者】

外国為替マーケット情報|2014/05/22

昨日はアジア時間の日銀の金融政策決定会合後の黒田総裁の追加緩和を期待させるようなコメントが聞かれなかったこともあり円買いが強まりドル円は一時101円を割り込むところまで押し込まれました。その後はロシア軍がウクライナ国境付近から撤退しているとの報道などからそれまで進んでいたリスク回避地合いの巻き戻しが進む展開となりました。それまで低水準での推移をつづけた米国債利回りも上昇をはじめ、株式市場も堅調な地合いをキープしました。
また、注目を集めたFOMC議事録ではサプライズはなく、景気への見通しに大きな変更はなく、景気刺激策を続けてもインフレ率の大幅上昇を招くリスクはないとの認識を示しました。さらに、実務担当者から出口戦略に関しての選択肢の説明などが行われ議論が行われたましが、政策手段の試験運用を続ける必要があるとの結論になりました。また、政策金利見通しをより的確に一般に伝える方向に関しても議論されたことなどが明らかになりました。結局、いろいろ難しいことを議論していますが、しばらくは雇用市場の安定まで景気刺激策を続けるということで市場はハト派よりに受け止め株式市場は活気をとりもどし、リスクオン地合いが強まりました。
為替相場では日米の中央銀行関係のイベントで上下に大きく揺さぶられたものの、終わってみれば発表前の水準と大きく変わっていないところまで戻り、方向感がつかみにくい状況となっています。
先ほど発表された中国のHSBC製造業PMIは市場予想を上回り50手前の49.7と前回数値から上昇となり、昨日まで売り込まれていた豪ドルは上昇を強めています。中国のPMIは欧米時間にかけて再度評価されることもあり、リスクオン地合いを支える材料となると予想されます。

0522ny

【主要通貨ペアの動き】
ドル円は日銀の金融政策決定会合後の黒田総裁の会見にて自信満々の黒田総裁から追加緩和の影を見出すことが出来ず、円買いが強り、101円下のストップをヒットし、一時100.82近辺まで押し込まれる展開となりましたが、その後はウクライナ情勢の好転、米国債利回りの上昇が短期のショートポジションを絞り出す動きとなり上昇、結局日銀の金融政策決定会合前よりも上の水準まで戻す動きとなりました。最終防衛ラインと想定されていた100.75はしっかりと守ったことから、今度は売りポジションの方が苦しい状況となり、上方向への意識が強まると思われます。まず意識されるのは先週末にサポートからレジスタンスに転じから上値を抑えている101.65-70近辺のゾーンでこのゾーンをしっかりと上抜けることができるかどうかを確認したいところです。また、サポートは引き続き最終防衛ラインの100.75と考えられ、その前に節目の101.00など、下げ止まりゾーンが多数控えていると思われます。

usdjpy0522

ユーロドルは欧州時間に強い英国小売売上を受け対ポンドでユーロ売りが進んだことや要人のユーロ高牽制コメントなどから下値を探る動きとなり、FOMC議事録前には一時1.3633近辺まで押し込まれるものの議事録公表後のドル売りで再浮上したものの1.369手前で上値を抑えらっれている状況となっています。ただし、1.37を割り込んだものの下ヒゲを残し底堅い推移をしていることから、大崩れというシナリオは見出しにくいかもしれません。
本日はユーロ圏でのPMI速報値の発表が予定されています。フランス→ドイツ→ユーロ圏の順で発表されますのでそれぞれの結果で一喜一憂する場面もみられるかもしれませんので注意が必要です。

eurusd0522

ユーロ円はドル円同様に黒田総裁の記者会見で下値を切り下げた後、リスクオフの巻き戻しに乗じ反発に転じました。日足チャートでは長い下ヒゲを残し、終値ベースではサポート候補と考えられていた138.7近辺をギリギリ守ったような状況となっています。上値は引き続き重いものの、反発の兆しが見え始めたといったところでしょうか。本日はまず昨日の安値である138.14近辺を守れるかどうか、昨日の高値である138.93を超えて139円台を回復できるかどうかを確認したいところです。

eurjpy0522

ポンドドルは強い小売売上により大きく上値を伸ばし1.69台をなんとか回復、現在は1.69を挟んでの攻防を繰り広げています。今後は日足チャートの節目である今月初めの高値である1.7を突破できるかどうかに注目が集まります。本日はまず昨日の指標後の高値である1.692近辺を上抜けることができるかどうか、指標後の下押し時のサポートとなった1.6857近辺を守ることができるかどうかに注目したいところです。
本日は欧州時間のユーロ圏PMIからの対ユーロからの圧力、英GDP改定値で速報値からの修正、米国経済指標などに注意が必要です。

gbpusd0522

豪ドルは下値を探る動きを続けましたが、最終防衛ラインの0.92目前で反発となったものの上値の重い状況が続きましたが先ほど発表された強い中国のHSBC製造業PMIにより大きく反発となっています。短期的に売りポジションが溜まっていることが予想されることから、流れが変わりさらに上値を追う展開になるというシナリオも考えられます。

audusd0522

【本日の注目材料】
欧州時間はユーロ圏のPMI、英国GDP改定値に注目が集まります。ユーロ圏のPMIはフランス、ドイツ、ユーロ圏の順番で発表されることから、フランスの結果を踏まえて、ドイツの結果を、そしてそれらを踏まえてユーロ圏のものを相場は判断となりユーロ圏の数字は予想がつきインパクトは薄くなると思われ、ユーロ圏総合のものよりも、フランス、ドイツのものの方がインパクトが強いと考えられます。英国GDP改定値は速報値からかい離があるとポンドが大きく揺さぶられると思われます。
米国時間は新規失業保険申請件数中古住宅販売件数の発表が予定されています。近頃、FEDも住宅市場に関してのコメントが増えてきていることから中古住宅販売件数への注目度は以前よりも増していると思われます。強い数字が出るとドル買いに拍車がかかると思われます。
米国経済指標が総崩れとならない限り、昨日のウクライナ情勢の改善に続き、アジア時間の中国の経済指標の改善を受けて本日はリスクオン地合いが更に強まることが予想されます。

【本日の予定】
08:50 対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)
10:45 中国5月HSBC製造業PMI(速報値)
14:00 5月日銀金融経済月報公表
15:45 仏5月企業景況感
16:00 仏5月製造業・サービス業PMI(速報値)
16:30 独5月製造業・サービス業PMI(速報値)
17:00 ユーロ圏5月総合・製造業・サービス業PMI(速報値)
17:30 英1-3月期GDP(改定値)
17:30 英4月財政収支
19:00 英5月CBI製造業受注指数
19:00 リンデ・スペイン中銀総裁講演
19:30 ファンロンパイEU大統領、メルケル独首相会談
21:30 米4月シカゴ連銀全米活動指数
21:30 米新規失業保険申請件数
21:30 加3月小売売上高
22:45 米5月マークイット製造業PMI(速報値)
23:00 米4月中古住宅販売件数
23:00 米4月景気先行指数
翌2:00 ファンロンパイEU大統領講演
翌2:00 米10年物価連動債入札(130億ドル)
翌5:00 ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁(投票権なし)講演

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様

佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト