Q&A:荒れ相場を乗り切るには?

ボラティリティの高い荒れ相場が続いています。この様な相場を乗り切るための資金管理やセリングクライマックス、2番底の見極め方などは、どうすればいいのでしょうか?

ボラティリティは投機的売買がつくります。実需や投資資金は、市場の取引量に比べると、大きな資金を扱えないので、急騰や急落をつくることはないからです。

唯一の例外は、投資資金が積み上げてきたポジションを一気に投げ売りすることですが、事実上、一気に投げ売りすることなどできないので、相場に弱気であっても、自ら相場を崩すような売買は行わないと考えていいのです。

もっとも、1987年の米株市場で起きたブラックマンデーは、投資家によるポートフォリオ・インシュアランスという一種のヘッジ売りで、相場が急落しました。ポートフォリオ・インシュアランスとは、株価が下げると自動的に売りオーダーが発注される仕組みで、結果的に下げれば下げるほど、売りオーダーが発注され続け、思わぬ急落となってしまいました。

長期投資家はパニックに巻き込まれることを嫌います。急騰や急落があっても、慌てずに自分の方針を貫こうとします。急騰は保有の投資物件が一気に割高になることを意味しますので、買いでついていこうとするよりは、売りスタンスで見ています。急落は買おうとしていた投資物件が一気に割安になることを意味しますので、価格につられて売りに転じるよりは、買いスタンスで見ようとするのです。

もっとも、勢いのあるうちは、どこまで上げるか、どこまで下げるかが分かりませんので、上げ止まり、下げ止まりを確認してから、売り向かい、買い向かいに動きます。

その意味では、急落で割安になったものを売り続けるポートフォリオ・インシュアランスは、投資家の実情に沿わないものでした。ポートフォリオを守るつもりが、パニックに巻き込まれたかのように、下げるにつれて売り続けたからです。以降は、ポートフォリオ・インシュアランスは下火になったと思います。

一方、急騰や急落をつくる投機資金の目的は、短期的なキャピタルゲインです。もともと、自分が扱っている投資商品にファンダメンタルズ的な興味は薄く、大きく上げそうなもの、下げそうなものを探しています。そして、大きく上げれば、その目的は達していますので、いつまでもしがみついているよりは、利益を確定して次の投機に移ります。そこで、上げ止まり、下げ止まりの兆候が見えると、一気にポジションを閉じるのです。なかには、倍返しで、反対方向にポジションをつくる人もいます。

実需や投資家、あるいは投機家のなかには、上記の解説とは全く違う行動を取る人もいるでしょう。しかし、彼らが扱っている資金の性質を吟味すれば、上記の解説の行動は、構造的なものだと理解されることと思います。全く違う行動を取る人たちは、いずれ淘汰されるので、無視していいのです。

トレンドは実需や投資資金がつくる。ボラティリティは投機資金がつくる。こういった価格変動の本質を理解していると、最も効率的な売買は、投機家がそのポジションを反転させるところ、実需や投資家が自分の方針を貫こうとするところ、つまり、谷越えを待って買い、山越えを待って売ることだと分かります。

実際に、円高局面では、8月23日~5日の2週間で、国内投資家が外国証券3兆5187億円買い越しました。

「8月30日~9月5日の1週間に、国内投資家は外国証券を2兆0467億円買い越した。買越額は2010年8月8~14日の2兆2445億円以来、5年ぶりの大きさ。円高が進む中で年金基金や生命保険会社が海外の債券や株式を購入したようだ。

内訳は債券が1兆1205億円、株式が8685億円でいずれも今年最大だった。国内投資家は8月23~29日にも1兆4720億円買い越していた。年金や生保などによる外国証券の今年の投資累計額は16兆円を超えた。」

関連:株下げ、円高でGPIFの買い余力拡大
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/buy-margin-expansion-of-gpif-in-yen/

山越え、谷越えで、いったん大きく反転したところが、天井、大底です。通常、相場はそこでは終わりません。しばしば、二番天井、二番底をつけに行くのです。そこでは、上抜けするか、下抜けするか、反発するかがポイントです。とはいえ、二番天井、二番底をつけるまでに時間がかかることも多いので、そんなものを待ち続けるよりは、小さな山越え、小さな谷越えを取るようにした方がいいと思います。

急騰、急落に惑わされず、パニックにならずにいるには、そうならない、ほどほどの金額でトレードすることが重要です。それでは詰まらないと思うのは、相場を博打と捉えているからで、ビジネスと捉えるならば、自分の裁量通りに動けるような資金管理が必要です。

トレードで最も難しいのは保合い時の売買です。コスト以上の利益を取るのが難しいのです。その点、ボラティリティの高い荒れ相場は、山越え確認、谷越え確認で、それなりの値幅が取れます。大きな資金を使わなくても、動いてくれればそれなりの収益となるのです。果敢にチャレンジしましょう。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。