FXコラム

米国のパワーの供給源

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FXコラム|2014/05/21

5月20日付けのCNNとCNBCといった米国の大メディアに、米国の強さや米景気について、正反対の見解を持つ記事が載った。

CNNは「超低金利がまだ数年間は続く3つの理由」として、米景気の低迷、米潜在成長力の減退、銀行規制を挙げた。
参照:3 reasons interest rates will stay low for years
http://money.cnn.com/2014/05/20/investing/fed-low-interest-rates-dudley/index.html?iid=HP_LN

CNBCは「米景気が回復している4つの理由、、、世界に先行」として、ドル安、シェールガス、貿易金融、アップル(ITテクノロジー)を挙げた。
参照:4 reasons US is recovering…and leaving the world behind http://www.cnbc.com/id/101684079

私は、米景気は着実に回復していると見ている。雇用統計や、資産価格の回復を見ても、「弱い」と見るのは、主観だと思えるくらいに回復してきた。とはいえ、インフレ懸念が見えないので、まだ超低金利を続け、米連銀が取っている膨大なリスクに対するリターンを確実にする意味はあると見ている。低金利は景気刺激につながるだけでなく、ドル安をも意味するからだ。

上記7つの要因のうち、最大の懸念は潜在成長力の減退かと思う。米国でも団塊の世代の引退が続いているからだ。

この点でも、私は杞憂だと見ている。米国の魅力は、なんといっても開かれた教育機関、開かれた労働市場などに象徴される懐の深さだからだ。英語も大きい。そのために、米国には常に優秀な人材が世界中から集まってきた。冷戦後に限っても、旧ソ連、東欧から多くの人材を受け入れた。米国パワーの供給源は移民なのだ。

私は今後、最も多くの移民を排出するのは中国だと見ている。中国はもはや共産党一党独裁で治めるには、市場経済を導入し過ぎた。共産党独裁を止めるか、北朝鮮のように国を閉ざすかの選択に迫られるかと思う。

例えば、21日付けの日経BPには以下のようなコラムもある。
(抜粋して引用)
「この浙江省の教会撤去事件が、これまでのキリスト教弾圧事件と異質なのは、対象が公認の教会であること、その公認の教会に圧力をかけたことによって、公認・非公認のキリスト教会が団結して党・政府への強い抵抗姿勢を打ち出したことだ。

キリスト教徒の数は2012年末当時で全国1億人以上という推計もあり、共産党員8500万人を上回る勢力なのだ。

貧困地域や環境汚染のひどいところほど、熱心な信者が集っている。」
参照:温州三江教会強制撤去事件の真相
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140520/264948/?P=1

これは宗教弾圧という見方もできるが、格差問題という見方もできる。ここに民族問題が加わり、共産党内の勢力争い、汚職問題が加わる。

経済面では、シャドーバンキング、不動産バブル、そして、人民元改革がある。

これだけの問題を、党で出世したというだけの人材で解決するのはもはや限界かと思う。高成長はすべてを覆い隠すが、減速するとそうはいかなくなるのは、国も企業も同じだ。

今後、中国の優秀な人材が米国の開かれた市場に大量に流入する可能性があるのだ。仮に、中国から多くの人材が世界中に流出するとすれば、日本にも来るかと思う。国益を考えるならば、日本を魅力的にして、より優秀な人材に来て貰いたいものだ。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/5/20 「3K仕事やりたがらない」
http://money.minkabu.jp/45072

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。