FXコラム

実需に見る円の需給は、中長期的な円安トレンドを示唆

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FXコラム|2014/07/24

6月の貿易収支は8222億円の赤字だった。前年同月の1805億円の赤字から大幅に拡大した。1~6月期の貿易収支は7兆5984億円の赤字だった。前年同期の4兆8125億円の赤字から拡大した。

何度か繰り返しているが、貿易赤字とは、輸入総額が輸出総額を上回ったという意味で、赤字からイメージされる損失を意味しない。輸入超が意味しているのは、貿易面での円買い需要よりも、円売り需要が大きいということで、長期的な円安トレンドに関与する。

一方、1~6月の海外企業に対する日本の銀行の円建て協調融資(サムライローン)が、前年同期比66%増の約2400億円と、上期として過去最高だった。海外企業にとっては、円での調達は世界で最も中長期金利が低いのでメリットがある。日銀の量的緩和、預金残高増で、カネ余りという環境下の日本の銀行にとっては、同格の国内企業への融資よりも利ザヤが取れるサムライローンは魅力的だ。

また、海外企業や政府による円建て外債(サムライ債)の1~6月の発行額は、1兆5299億円と前年同期比2.5倍だった。半期ベースでは、2008年上期の1兆6742億円以来の水準に膨らんだ。海外の発行体にとっては円での低利調達が魅力。一方、日本の投資家による利回りの高いサムライ債へのニーズは強い。

海外企業は円で調達した資金を、主に自国通貨などに換えて運用する。低利通貨調達、高利通貨運用となり、これもいうなればキャリートレードだ。つまり、ローンや債券での借入期間を通じて、円売りの圧力となる。これは、中期的な円安トレンドに関与する。

短期は投機筋が目先の材料で売り買いするが、投機筋は何年も売ったまま、買ったままにはしない。実需に見る円の需給は、中長期的な円安トレンドを示唆している。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。