消費増税と格下げ

S&Pは9月16日に、日本国債の長期ソブリン格付けをAA-からA+に、短期格付けをA-1+からA-1に、1段階格下げした。

格下げに伴うコメントで、S&Pは政府の借金弁済能力を支える日本経済が、過去3、4年間、引き続き弱体化し続けていると付け加えた。日本政府による景気回復、及びデフレを終了させる政策では、向こう2、3年は悪化を食い止めることができそうにないとした。

参照:Standard & Poor’s downgrades Japan from AA- to A+
http://www.cnbc.com/2015/09/16/standard-poors-downgrades-japan-from-aa-to-a.html

日本経済は過去3、4年間、引き続き弱体化し続けていて、向こう2、3年は悪化を食い止めることができそうにないと、安倍政権の経済政策は、過去から近未来まで、アベノミクスも消費増税も、完全にダメ出しされた格好だ。

S&Pは15日に韓国の格付けをA+からAA-からに引き上げていたので、一夜にして、日韓政府の借金弁済能力順位が入れ替わった。

格付け先日、安倍首相は2017年4月の消費税率10%への引き上げを、予定通りに行うと言明した。財務省は即座に、引き上げ後の税還付案を発表したが、内容に疑問が続出したため、いったん撤回した。

しかし、還付するのなら、引き上げ率を縮小するか、引き上げ法案そのものを廃案にする。あるいは、消費マインド上昇、景気のテコ入れ、デフレ対策として、消費税率の引き下げを検討してもいいようなものだが、税率は引き上げて、その分、還付すると言う。

これは要するに、税収額そのものはニュートラルに近付いても、資金配分の裁量権だけを政府が大きくしようとするものだ。過去の様々な政府の政策、公共投資などのように、政府、あるいはエリート官僚に任せていれば、日本経済は大丈夫で、財政再建もなるという発想だ。S&Pはここをダメ出しした。

当然だろう。もし、日本の政治家や経済官僚が、自分たちが思っているように優秀ならば、ここまで日本の財政が悪化し、政府債務は膨張することはない。優秀でないとは言い過ぎかもしれない。大きな裁量権には、必ずといってよい程、癒着の構造が伴い、自分たちはより潤うからだ。

日本経済の最大のエンジンは、GDP消費の約6割を占める個人消費だ。政府はこれを米国並みの約7割に高めたいとしている。

日本経済が元気で、税収も大きかったのは、消費税率が3%だった頃までだ。5%への増税で、消費税収こそ安定して少しずつ伸びたが、所得税収、法人税収は激減した。100兆円の消費が税金で天引きされ、97兆円から95兆円の売り上げとなったために、経済が回らなくなったのだ。結果的に税収そのものが減り、財政は悪化し続けている。

増税

日本経済を本気で再生したいなら、幕末の武士たちではないが、自分たちの既得権を犠牲にしてでも、政府・官庁は裁量権を小さくするべきかと思う。消費税率は、3%以下に引き下げるしかないと思うのだが、、、。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。