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今週の見どころ ドルの強弱

【著者】

先週からの流れ

先週はドルの弱さが目立つ週となりました。前週はFOMCメンバーのタカ派的なコメントを背景に底堅い動きとなったものの、先週序盤に発表された米国個人消費支出において1月分が大きく下方修正されたことを受けて13月期のGDPが冴えない結果になるのではとの思惑が広がり、ドルの上値を圧迫する展開となりました。アトランタ連銀のGDP予想値であるGDPNowもこの結果を受けて1.4から0.6まで低下しており、市場の警戒感が高まっています。

注目が集まったイエレン議長の講演ではタカ派的なコメントへの期待が若干ありましたが、前回のFOMC後の記者会見と大きな変化はなく、利上げには慎重なスタンスが示されました。市場の反応は前週にFOMCメンバーのタカ派的なコメントでドル買いの進んでいた反動もあり、ドル売りが大きく進む動きとなりました。

週末に発表された米国3月雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を若干上回り、平均時給も市場予想以上の伸びを見せる結果となりました。失業率こそ0.1%上昇しましたが、併せて労働参加率が上昇しており、前向きな失業率の増加と言えそうな結果となっています。発表直後の市場はドル買いで素直に反応となりましたが、その後は発表前のドル売りが再燃するような動きとなり、ドルは伸び悩む状態が続いています。

また、先週は雇用統計以外にもISM製造業景況指数やシカゴPMIが底堅い結果となるなど強い材料が出てきたものの、イエレン議長の講演で強まったドル売りの流れを変えることはできず、市場のドル買いは限定的なものにとどまっています。
弱いドルに押し上げられ、対ドルでは各通貨底堅い動きとなったものの、ポンドは根強いEU離脱懸念や原油価格が失速したことなどを背景に上値の重い推移となったほか、原油価格の失速はカナダドルの上値を圧迫しています。
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ドルの強弱

今週も引き続き、ドルの強弱で揺れ動く相場が続きそうな気配がしています。米国発のイベントとしてはISM非製造業景況指数、FOMC議事録、イエレン議長の討論会への出席などが挙げられます。

前回冴えない結果となったISM非製造業景況指数が底堅さを見せるようであれば、米国経済悲観論は後退し、先週の雇用統計やISM製造業と併せてドルの底を支える可能性が挙げられますが、引き続き冴えない結果となってしまうと、ドルの上値の重い状態は続くことが想定されます。

FOMC議事録はイエレン議長の記者会見付きの会合分であり、また、その後のFOMCメンバーのコメントが多く出た後ということもあり、情報としては古いものとなり、新鮮味のない情報となりそうですが、市場が過敏に反応する可能性はあるため、発表前後の動きには注意が必要です。

イエレン議長の討論会参加は先週の強い雇用統計を経てイエレン議長のトーンに変化があるかどうかに注目が集まります。タカ派的なコメントが飛び出すと、サプライズとなり、ドル買いの材料になると考えられる反面で、期待が高まりすぎると、失望を生む可能性もあるため、事前のドルの強弱と併せながら、確認したいところです。

RBA政策金利発表

今週はオーストラリアで政策金利の発表が予定されています。今年に入り、豪ドルは底堅い推移が続いており、RBAによる豪ドル高牽制も意識され始めており、今回の政策金利発表時の声明文にて豪ドル高への牽制コメント、追加利下げに関しての文言に注目が集まります。これらがないようであれば、豪ドル買いでの反応となることが想定され、あれば豪ドル売りで反応することが想定されます。
また、RBAはサプライズで金利変更を行ったことも過去にあるため、サプライズ利下げにも一応の警戒が必要です。ECB、RBNZが追加緩和を行っていることもあり、今回のRBAにも少し注意が必要です。

先週の注目通貨ペアのその後

先週の注目通貨ペアに挙げた豪ドル円(AUD/JPY)ですが、トレンド転換はお預けとなりました。週足チャートを見るとトレンドラインに接近したところで失速となり、押し戻される動きとなっています。
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日足チャートを見るとレジスタンスとなっていた86.40を上抜ける場面もありましたが、終値ベースでは押し戻される動きとなり失速する動きとなっています。再度上昇する可能性は十分に残っているものの、少し雲行きが怪しくなってきたことには注意したいところです。また、今週はRBAの金融政策の発表が予定されており、声明文での利下げ示唆や豪ドル高牽制、さらにはサプライズ利下げなどがあると豪ドル売りが進むというシナリオも考えられるため、注意が必要です。

今週の注目通貨ペア

今週の注目通貨ペアはカナダ円です。週足チャートを見ると原油価格の下落を背景に上値の重い推移が続き、一昨年のピークである106円台から80円を割り込むところまで下落した後、現在は原油価格の反発やドル安地合いに支えられ、小反発となっていますが、昨年8月のサポートとなった87.45付近が教科書通りにレジスタンスとなり、押し戻される動きとなっており、再度下値を探る可能性が浮上しています。

前週から上値の重い状態となっていた原油価格も先週は軟調な推移となり、カナダドルの上値を圧迫する材料となっています。原油市場では4月17日の会合での原油増産凍結へ向けた合意への期待、不安で神経質な状態が続きそうな気配がしており、増産凍結に否定的な報道が出てくると、原油価格が軟調な推移となることが想定され、カナダドルも下値を探りに行く可能性が高まります。

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日足チャートで見ると、ゆるやかな上昇基調が一段落している状態と考えられ、現時点ではこれが押し目なのか、大きな下落の始まりなのかは見分けがつかない状態となっており、売りで入るのであれば、しっかりとバランスが崩れるのを確認したいところです。トレンドラインを引くなり、サポートラインを引く、RSIのサポートとなっている50割れなど工夫をして、均衡が崩れるタイミングを上手く掴みたいところです。

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OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト