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今週の見どころ 米FOMC、GDP日銀金融政策決定会合他

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先週からの流れ

先週はECB理事会後のドラギ総裁の記者会見にて、景気、物価の下振れが強調され、これまで下限に達したとしてきた預金ファシリティー金利の引き下げを含めた追加緩和を12月会合で検討することが示されました。会見ではECBは状況を見守る(waitandsee)段階ではなく、行動し精査する(workandassess)の段階であるとコメントするなど、追加緩和期待を高めるような表現が続きました。

この会見を受けてユーロは急落、全面安状態となりました。ドルは底堅い米国経済指標も重なり押し上げられる動きとなり、また、株式市場はリスクオンで底堅い動きとなっています。さらに週末にかけては、中国人民銀行が今週の共産党第18回全国代表大会を控え、利下げを発表したこともリスクオン地合いを後押しする状態となっています。

米国経済指標はドラギ総裁の会見の影に隠れ目立ちませんでしたが、中古住宅販売件数新規失業保険申請件数などが市場予想をしっかりと上回る強さとなり、米国経済の底堅さを意識させられる結果となっています。

週間を通してユーロの弱さ、米ドルの強さが目立つほか、リスクオンの流れが強まったことで円やスイスフランが弱い動きとなっています。オセアニア通貨は対ドルでは上値の重い推移となったものの、対ユーロや対円で底堅い推移となっています。
通貨別強弱

FOMC

今週はFOMCが予定されています。今回の会合では議長の記者会見が予定されていないことや、昨今のFOMCメンバーの利上げに慎重なコメント、利上げを確信できる強いデータ不足などから利上げ見送りの可能性が高いと考えられ、市場の注目は声明文の内容に集まります。

声明文で次回12月の会合での利上げを示唆するような内容となれば当然ドル買いで反応と考えられますが、利上げの可能性は否定しないまでも状況次第といったこれまでの声明文に近い内容となると、年内の利上げ見送り観測が強まり、ドル売りで反応する可能性も考えられます。

米国GDP

市場予想は1%台後半となっていますが、アトランタ連銀の予想であるGDPnowでは1%を割り込む状態となっています。伸び悩む消費、ドル高による輸出低下、製造業不振、などが足を引っ張り、ある程度の弱さは市場も想定済みですが、1%を割り込むような結果となってしまうと年内利上げ観測が後退し、ドル売りが進むというシナリオも想定できます。また、これに関しては利上げ観測後退によるリスクオンという流れより、米国経済の失速が意識され、リスクオフでの反応となる可能性の方が高いと考えられます。

日銀金融政策決定会合

週末には日銀の金融政策決定会合が予定されています。先週末に本邦政府要人から差し迫った追加緩和の必要性はない旨のコメントで追加緩和観測は後退気味ですが、米国の利上げ観測が後退、本邦の鉱工業生産や消費者物価指数が伸び悩むなどの状態であれば、ECBや中国の緩和に続いて日銀も展望レポートの発表と併せて緩和?との意識が強まることが想定されます。

追加緩和の内容としては国債購入額の10兆から20兆円の拡張、残存期間の長期化、ETFの購入額増額などが挙げられますが、想定の範囲内の追加緩和となった場合は初期反応は上昇となっても材料出尽くし感が強まる可能性も考えられます。また事前に期待が高まり円売りが進む流れとなっていた場合は。追加緩和見送りとなった際の失望売りにも、いずれにせよ発表前後は上下に振れる可能性があるため注意が必要です。

その他注目材料

FOMCの声明文の内容にもよりますが、今週は耐久財受注、個人消費支出、コアPCEデフレーター、雇用コスト指数などの米国の重要な経済指標の発表が続きます。大きなイベントの影に隠れ、目立たない可能性もありますが、インパクトはそれなりに強く、底堅い結果となればドルの下支え材料となり、弱ければ米国利上げ観測を後退させドル売りの材料となることが想定されます。

ユーロ圏では消費者物価指数、独IFO景況指数の発表が予定されています。消費者物価指数が弱い結果となると12月の追加緩和が意識され、ユーロ売りが再燃する可能性があります。

今週は中国の共産党第18回全国代表大会が予定されており、成長率目標がどの程度引き下げられるのかに注目が集まります。また、先週末の利下げに続き何等かの政策が打ち出される可能性もあり、市場のリスク地合いを好転させる可能性が挙げられる反面で期待外れとなると中国景気減速懸念が強まるリスクも考えられます。

英国ではGDPの速報値の発表が予定されています。消費の強さは確認されているものの、新興国経済失速の影響や冴えない製造業関連が足を引っ張る可能性も考えられるため、発表前後は特に注意が必要です。

オーストラリアでは四半期のGDPの発表が予定されています。弱い結果となると追加緩和観測が強まる反面で、底堅さを見せることができれば豪ドル買い戻しが強まる可能性も考えられます。

NZドルは政策金利の発表が予定されています。前回利下げしていることもあり、今回は据え置きの可能性が高いと考えられます。

今週のPickup通貨ペア

今週のpickup通貨ペアは先々週にもご案内したEURAUDです。
前回は下げ渋る動きとなりましたが、今回は4月末から半年続いた上昇トレンドラインをしっかりと割り込む推移となり、10月12日のサポートとなっていた1.54付近をしっかりと割り込む動きとなりました。先週はドラギ総裁の会見で短期的に大きな下落となっているため、多少の反動は想定されますが、今後も上値の重い推移が続く可能性が高まっています。週足チャートなどで見ると伸びしろはたっぷりと残っていることが確認できます。

リスクとしては中国の景気減速懸念の再燃、資源価格低迷の継続、豪消費者物価指数の下振れ、RBA追加利下げなどの豪ドル事情に加え、ユーロ圏の消費者物価指数の上振れ、ECBの追加緩和未遂、ユーロのショートスクイーズを狙った動きなどが挙げられます。ボラティリティの高い通貨ペアとなるため、タイミングをうまく見極めることが必要ですが、うまくいけば楽しいキャリートレードができるかもしれません。

euraud1026

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト