米が日本を為替の監視リストに

米財務省は4月29日、半年ごとに議会に提出する為替報告書のなかで、日本、中国、韓国、台湾、ドイツの5カ国・地域の経済政策に懸念を示し、大幅な黒字を抱えていることを主な理由に、新たに設けた監視リストに載せた。

米は為替操作国と認定することの基準を、(1)対米貿易黒字が年間200億ドル以上、(2)経常黒字がGDPの3%以上、(3)為替の市場介入がGDPの2%以上の規模としている。

日本の2015年の貿易収支は2兆8000億円の赤字だが、(1)対米黒字は7兆2000億円で、106円50銭だと約676億ドルとなる。また、(2)経常黒字は16兆6000億円で、日本のGDP約500兆円の約3.3%だ。最近、(3)為替の市場介入は行っていないが、(1)、(2)を勘案すれば、事実上、為替介入を封印されたとみていいだろう。

先週末に、麻生蔵相が「明らかに一方的に偏った投機的な動きが見られているので、極めて憂慮している」、「必要に応じて適切な対応をしていくという態勢を整えてある」と語り、円売り・ドル買いの為替介入を準備していることを示唆したが、これはカラ元気に過ぎないかもしれない。5月26日、27日のG7伊勢志摩サミットを前に米国を刺激することは難しい。

政治は駆け引きだ。対中国問題、また、インドネシアやオーストラリアなどとの大きなトップ商談が破談したことを含め、日本の政治力は、政府が自ら思っているほどには強くないかもしれない。以下に、貿易収支の資料を挙げる。

日本の貿易収支(出所:財務省):
^241976CB2E70BA2AB96BD7444FD8573541607C87CEC1CB5897^pimgpsh_fullsize_distr

対米バランス(出所:財務省):
矢口さん2

輸出の内訳(出所:財務省):
矢口さん3

輸入の内訳(出所:財務省):
矢口さん4

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
最新記事:16/12/5「イタリア国民投票の焦点
矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。