米株は業績相場に移行

【著者】

昨夜4月1日の欧州市場は株高となる一方で、主要国の国債価格も上昇した。ドイツ10年国債の利回りは0.152%に低下し、過去最低水準を更新した。

一方、米市場では米国債は上昇したが、米株は下落した。共に米経済指標の悪化を受けたものとされている。

そうした海外市場の動向を受け継いだ2日の日本株は大幅上昇となっている。一方で、日本国債の価格も上昇している。

私は、こうした動きが、2015年を通じてしばしば見られることになると予想している。

資金運用者は通常、常に最適な資金配分を考えている。1つや2つの経済指標で右往左往するのは投機筋だけだが、長期投資家も景気拡大が続くと見れば、株式の比重を高め、債券の比重を下げる。1日の米市場のように、景気指標の悪化で債券が買われ、株式が売られたのは、その意味では自然な動きなのだ。

では、株式も債券も買われた欧州や日本の動きは何なのだろう? 実のところ、去年までは米市場も同じように、株式も債券も買われてきていた。

米市場は2015年になって、「正常化」しつつあるといえる。最適な資金配分が市場価格に反映するようになってきたのだ。

これまでは、量的緩和によるカネ余りが、市場価格に最適な資金配分を超える影響力を与えてきた。債券の配分を厚くしても、株式市場にも余剰資金が回る。その結果、株高となるので、資金運用者は強気に傾く。短期間で見れば、どちらかが売られるようなことがあっても、中長期的には株式も債券も上げてきたのだ。その量的緩和が米国では昨年末で終了した。

米株市場は今後、カネ余りの「金融相場」から、景気や企業業績を反映する「業績相場」に移っていく。一方で、欧州市場や日本市場はこれからもカネ余りの「金融相場」が続く。市場の1日からの動きはその象徴となった。

欧州や日本では景気後退が見られれば、カネ余りの規模や時期が拡大し、結果的に株式市場を押し上げていく。一方、米国で景気後退が見られれば、株式の比重を下げ、債券の比重を上げることで、株式市場から資金が流出する。そういった可能性がでてきたといえる。

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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。