日米金融政策会合の共通項は・・・時間稼ぎ?

お得意の先延ばしを行うFRBと限界感・手詰まり感を露呈する日銀

今週20-21日、日米の金融政策会合が開かれ、事前に市場が期待した内容をベースにしてみると、両者とも時間稼ぎをしたに過ぎないと見ることが可能です。

結果の新しいところから行くと、まずはFOMC
市場の大方の予想通り9月利上げは見送られ、またその後のイエレンFRB議長会見においても慎重な発言が目立ったところから、市場は“ハト派”と判断し、ドルが売られる結果となりました、
「大半の(会合)参加者は年内1回の利上げが適切と見ている」「(今回の利上げ見送りは)雇用最大化と2%の物価目標という使命(=デュアル・マンデート)の達成に向けてさらなる証拠を待つことを選択したため」とし、概ね利上げ判断は11月の大統領選後の12月14日の線が浮上する結果となりました。
仮に12月利上げを実施しないような状況に陥った場合は、米国経済は再びリセッション入りしたと捉えられても否定のしようがなく、また昨年12月に行った利上げ判断は誤りであったと自己否定をすることにもなりかねません。余程の事がない限り、12月利上げを「せざるを得ない」状況に入ったと考えてもいいのではないでしょうか。

そして、日銀
当初、国債の買い入れ増額や質部分の新規付加(外債、建設国債、財投債等の組み入れ)が予想されたものの、これらは実施されず、また一部で有力視されていたマイナス金利の深掘りは今回見送られる結果となりました。
いわば、銀行やその他金融機関に最大限配慮したものと言えそうです。
今回の日銀会合での決定事項2本柱は、「イールドカーブ・コントロール」オーバーシュート型コミットメント」
これら施策は、一般の投資家からすれば後からの説明でやっと理解できるような名称となっており、アルゴリズム対策と言えばそれまでですが、いわば難解な言語を駆使しつつ、日銀による小手先の長期金利操作と意気込み(気合い)を満天下に示し、また、同時に日銀の政策限界感を露呈したものと感じるのは私だけでしょうか。

その日銀の今回の“新しい枠組み”には「金融緩和強化」と謳っているものの、今年の1月に掲げた『マイナス金利付き』という看板は『長短金利操作付き』に挿げ替えられ、“力技”ではなく“手技”でマーケット参加者をいなしたような形に。

金融緩和強化のための新しい枠組みとして『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』を掲げたものの、『イールドカーブ・コントロール』の仕組みを“深掘り”してみると、将来的に長期金利が下がればマイナス金利の深掘りや長期国債の売却を示唆しており、特に後者はテーパリング(量的金融緩和の縮小)を意味していることは誰の目にも明らかです。

当面のマーケットは、日銀による「長短金利操作+気合い付き量的・質的金融緩和」とFRBによる「年内利上げ観測付き金利据え置き判断」のパワーバランスの鬩(せめ)ぎあいが続きそう。ドル/円相場もこれらの力学をベースとした膠着状態が継続すると見た方がよさそうです。

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津田 隆光|マネースクエア 市場調査部 チーフアナリスト

津田 隆光

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA)。 テクニカル分析をベースとしたレポートを執筆する他、ラジオNIKKEI「ザ・マネー ~西山孝四郎のFXマーケットスクウェア」ではコメンテーターを務める。