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「中央銀行には逆らうな」=円売りフローのさらなる進展も

【著者】

6月後半にポルトガルで開催されたECBフォーラムでの各国中央銀行当局者の発言が起因となり、主要通貨の動きはそれぞれの中央銀行の政策スタンスに副った動きとなっていることは、先週の当コラムでもお伝えした通りです。

現在の為替市場を大局的に見る上で、各国中央銀行の金融政策スタンスの相違を確認することは極めて重要で、裏を返せば、その政策スタンスに逆らうような投資行動は、相場の格言にある【中央銀行には逆らうな】、【Don’t fight the FED.(FED※と喧嘩をするな)】の通り、“御法度”“禁忌(タブー)”と捉えた方がいいのかもしれません。(※FED:米国の中央銀行制度の総称のこと)

現状では、各国中央銀行による「金融政策正常化レース」が繰り広げられていると言ってもよく、その“レース”イメージを纏めてみると、今後の自身の投資行動における“指針”になるかもしれません。以下、各国中央銀行による「金融政策正常化レース」(以下「正常化レース」)のイメージ図をご覧ください。

金融正常化

以下、あくまで上記イメージ図をベースとする解説ですが、「正常化レース」の先頭を走るのが米国(FRB)と言えます。その方針は「利上げ」と「B/S縮小」のペースとタイミングですが、足もとの米国におけるインフレ率の低迷もあり、今後の物価動向や賃金動向の改善が確認できるまでは、そのペースは鈍化(立ち止まり?)すると捉えていいでしょう。

その先頭を走る米国を猛烈な勢いで追いかけているのがカナダ(BOC)。12日に約7年ぶりの利上げを行い、その後の声明文やポロズBOC総裁の記者会見での発言(※)を見ても、そのスピードや勢いは先頭グループのトップレベルと見てよさそうです。(※ポロスBOC総裁「今まで与えていたような景気刺激策は必要がないということが重要」[7/12記者会見])
非伝統的金融政策からの「出口」から一足飛びに金融引き締め(=利上げ)を模索する英国(BOE)や、来年の利上げ観測のある豪州(RBA)NZ(RBNZ)、そして猛烈な勢いで先頭グループを追いかけている欧州(ECB)は、まさにドラギECB総裁のニックネームである“スーパー・マリオ”のような追い上げ(※)と言えます。(※7/14 WSJ 「ECB総裁、9月に資産買い入れ策縮小を示唆か」)

そんな中、先週の七夕(7/7)に、5カ月ぶりに国債買い入れ増額と指値オペを実施し、依然として“非伝統的金融政策のトップランナー”であることを改めて明確にした日本(日銀)は、他の先進各国中央銀行が「正常化レース」を繰り広げる中、逆方向を向いてひた走っている状態と捉えてよさそうです。

上図で示した各国金融政策スタンスの方向性の違いを捉えると、やはりしばらくは【円キャリー・トレード】がワークするのではないでしょうか。その意味でも、次週19-20日に予定されている日銀金融政策決定会合において、改めてその旗幟(きし)が鮮明になれば、円売りフローの進展が加速する可能性もありそうです。

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津田 隆光|マネースクウェア・ジャパン

津田 隆光

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA)。 テクニカル分析をベースとしたレポートを執筆する他、ラジオNIKKEI「ザ・マネー ~西山孝四郎のFXマーケットスクウェア」では隔週金曜日にコメンテーターを務める。