FXコラム

三角保合を2つ繋げる?

【著者】

黒田日銀総裁が10日午後の衆院で、実質実効為替レートについて「さらに円安に振れることはありそうにない」と述べたことで、市場は「一段の円安・ドル高をけん制する内容」として、最近積み上げていたドルロング・円ショートのポジションを手仕舞った。

ドル円日足

投機筋が昨年から積み上げていたドルロング・円ショートは、4月末頃までにほぼスクウェア(ゼロポジション)となっていた。買い上げたポジションを売り払ったのだから、ドル円レートが下げてもいいはずだった。下がらなかったのは、本邦の年金、生保といった長期投資家が外貨投資を拡大中だからだ。

とはいえ、長期投資家は通常、投資物件を徐々に買い進めるもので、急激に高くなったドルを追いかけて買うようなことは稀だ。実際、生保筋からは「円安が進み過ぎたので、外債投資を手控える」という発言がメディアに流されていた。

とはいえ、米連銀が利上げをすれば、日米金利差は拡大し、ドル高円安が進行する可能性が高い。投機筋はいったんスクウェアにしたポジションを、5月以降急激に膨らませ、それが三角保合の上抜けにつながった。黒田発言により閉じられたのは、そういった投機筋のポジションだ。

2011年以降のドル高・円安局面は以下のチャートのように、三角保合を2つ繋げる形で上抜けしてきている。今日のように円高に振れると、生保の外債投資は再開される。また、外貨を40%保有するとする年金の買いも増える。投機筋のポジションが軽くなると、再び買い余力が増すことになる。いずれにせよ、日米金利差は拡大する見込みだからだ。私は今回も三角保合を2つ繋げる可能性が高いと見ている。

ドル円週足

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。