株式市場は危険なほど買われ過ぎ?

【著者】

FXコラム|2014/06/23

高値で取引されるM&Aブームを鑑みると、株式市場は危険なほど買われ過ぎだとの見方がある。
今年のM&A取引額は2007年以降で最大の3.51兆ドルに達する見通しだ。

参照:Stocks are ‘dangerously overvalued,’ M&A deals suggest
http://www.marketwatch.com/story/stocks-are-dangerously-overvalued-ma-deals-suggest-2014-06-20?dist=markets

M&Aブームの背景には、企業の豊富な手元資金がある。その豊富な資金は中央銀行による資金供給と無縁ではない。米連銀は2009年以降その資産を4倍以上に膨らませ、GDP比約25%となった。この間に3.3兆ドル以上の資金を市場に供給した。資金供給は年内一杯続ける見込みだ。そして先日、イエレン議長は量的緩和終了後も巨大なバランスシートを必要な期間維持すると表明した。

欧州中銀や英中銀もリーマンショック、ギリシャ危機後に銀行に大量の資金を供給し、その資産はGDP比で25%弱と米連銀と近い水準にある。欧州中銀の資産は銀行の資金返済を受け減少していたが、デフレ傾向を受け近く量的緩和による資金供給を再開する見通しだ。

一方、異次元緩和で年間70兆円規模の資金を供給している日銀の資産は、GDP比で既に50%超に達している。異次元緩和は初めてまだ1年なので、この比率は上げ続ける見込みだ。

これだけの資金供給をしながら、日米英のインフレ率は穏やかだ。欧州はデフレ傾向さえ見られる。少なくとも1980年代までは、資金供給は高インフレと結び付いていたのとは様変わりだ。何故だろうか?

私は通信、交通、運輸などの技術の進歩によるグローバル化は、モノやサービスの価格を押し下げると見ている。技術の進歩は常に生産、運輸コストを押し下げるが、グローバル化は人件費も押し下げるのだ。冷害や旱魃による収穫不足ですら、他地域の増産により、価格の高騰が抑えられる時代だ。これだけの資金供給がなければ、価格が右肩上がりを維持することは難しい。

世界的に資金供給が行われている一方で、株式の供給は穏やかだ。これは自然で、カネ余り企業が資金調達をする必要がないからだ。また、米株は米企業だけ、日本株は日本企業だけしか供給できないが、買うことは世界中の誰でもができる。そう考えると、株式市場が危険なほど買われ過ぎという見方は、的外れではないかと思う。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/6/23 「過去に捉われるな!」
http:/money.minkabu.jp/45559

[june_YJFX]

矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。