長期予報と今日の天気

【著者】

FXコラム|2014/08/01

米個人投資家が、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のどちらに重きを置いて相場での投資判断を行うかを分類すると、7割がどちらかと言えばテクニカル分析を利用、3割がファンダメンタルズ分析を利用するとのことだ。

一方、年金や保険、ファンドといった機関投資家はほぼ100%ファンダメンタルズ分析に重きを置いて投資を行う。そして、ファンダメンタルズ分析のなかで、定量分析(コンピュータを用いて財務諸表や成長性などの数値を分析する)と、定性分析(実際に企業を訪問して事業の将来性を総合的に判断する)に分けられる。

定量分析での運用とは、いわゆるビッグデータを用いた運用で、スポーツのチーム編成や、戦略、解説にも応用されている。一方、熟練ファンドマネージャーの経験や勘は、定性分析に属する。

目論見書に予め運用方法を開示して資金を募るファンドでは、定量分析のみで投資判断を行うこともあるだろうが、年金や保険、銀行、証券、あるいは各種法人などの余資運用では、多くはジュニアの定量分析をもとに、シニアが定性分析での運用判断を行うことが多いかと思う。

ファンダメンタルズ(定量・定性)分析、テクニカル分析共に、投資環境や投資物件の現状をより正確に知るために行う。私はこれをよく天気予報に例えている。チャートはいわば天気図だ。

天気図で分かるのは、今現在の大気の様子だ。気圧や風の向き、強さは誰が測っても同じもののはずだ。等圧線や気圧の谷を書き込むのは、天気予報にはそれが有用だとする「思想」で、投資運用ではテクニカル指標にあたる。

そういったデータをもとに、予報士が天気を予報する。「この季節は小笠原(太平洋)高気圧が張り出しているので、台風の進路は高気圧を回り込むように北寄り、北北東となる」。あるいは、「高気圧の勢力が弱いので、九州辺りから偏西風に乗って、東寄りにコースを変える」。「海水温が高いので、台風は次第に勢力を強める模様」といった具合だ。同じものを見ても、予報士によって当たり外れがあるのは、相場と同じだ。

天気図にも親しむと、天気予報が楽しくなる。これは天気のテクニカル分析に当たり、今日の天気を知るには非常に有用だ。最近はスマホでも実際の雨雲の動きも見られるので、ゲリラ豪雨時の雨宿り判断に最適だ。私などは1日に何度も以下のページを見ている。
参照:東京アメッシュ http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
参照:天気図     http://www.jma.go.jp/jp/g3/

一方のファンダメンタルズ分析は、どちらかといえば長期予報に当たる。温暖化で異常気象が増えていることや、世界各地の農作物の作柄、北極海路の開通見通し、南極上空のオゾン層の拡大状況など、地球規模で様々なことが分かるが、今日の天気を知ることにはあまり役立たない。

このことが、個人投資家のファンダメンタルズ分析軽視に繋がっているかと思う。個人投資家の多くは、私などにも「儲かる銘柄を教えてくれ」と尋ねてくるほど、目先重視だからだ。一方の機関投資家は、今日の天気よりも、長期予報に興味があるのだ。

天気図と同じで、チャートも親しむと、相場の動きの予想精度が高まってくる。とはいえ、天気と同じで、どこまでいっても未来のことが分かるようにはならない。特に、相場の場合では、ほとんどいつも「大気が不安定」なのだから。

不安定な天気、不安定な相場に惑わされないようにするには、テクニカル分析だけでなく、ファンダメンタルズ分析も同じように重要だ。また、価格変動の構造や、相場環境、それらを認識した上で、目の前の価格の動きを見ると、興味がより深まるかと思う。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/7/29 「為替市場のレジェンド若林栄治氏」
http:/money.minkabu.jp/45978

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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。