米株はどこまで下げるのか?

【著者】

中国をはじめとした新興国市場の株価下落を受け、先進国の株価も急落、米S&P500株指数はついに今年に入ってのマイナス圏で取引を終えた。

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一方で、米景気は順調な回復をみせ、米連銀が注目する雇用市場などは金融危機以前の水準に完全回復している。

ところが、米政策金利はリーマンショック後の2008年12月に達した0.25%という過去最低水準のまま。米連銀のバランスシートは当時の1兆ドル割れから、2014年末に4.45兆ドルまで膨らませたままの水準を維持している。つまり、米経済が正常に戻ったにも関わらず、米連銀の金融政策は未曽有の非常事態に対応したままとなっている。

9月にも米連銀が利上げすると取沙汰されていることに関して、時期尚早との意見もあるが、正常な経済に、非常事態の金融政策を継続していることの方がむしろ異常で、米連銀は利上げの時期を逸し続けてきたとみるべきかと思う。

ここで、新興国市場の株価下落により、さらに利上げ時期を引き延ばせば、非常事態の金融政策の恒常化という、世界経済にとっては、より大きな潜在的リスク要因となる可能性が高い。米連銀の利上げ開始は、金融政策正常化への一歩を踏み出すだけで、金融市場のリスクを軽減する行為なのだ。

私は、米株は、そして日本株も、間もなく下げ止まると見ている。大量の資金は市場に滞留したままとなっており、それでも足りなければ、さらなる供給がなされるからだ。また、危機の時には債券が買われるものだが、債券は既に何年も買われ続けており、価格上昇の余地がほとんど残っていないからだ。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。