ずる賢さも身につけるべき?

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外国為替マーケット情報|2014/06/24

イングランドのFWウェイン・ルーニーは、ワールドカップで敗退したイングランド・チームのプレーは 「正直すぎた」 ため、ずる賢さも身につけるべきだと語った。

正直者はバカを見る? ルーニーがずる賢さのすすめ
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303319204579641013668017846?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsFirst

スポーツ競技はルールに基づいて行われる。もともとのルールは、その競技を独特の個性的な競技として成り立たせているもので、サッカーであれば、ゴールキーパー以外で手を使えるのは、スローイングの時だけといったようなものだ。これは子供たちが空地などで行う場合にでも適用されるルールで、そこで「ずる」をすれば、もはや違うスポーツになってしまう。

スポーツ競技がゲームとして勝敗を決めるものとされるにつれて、様々な付随ルールが付け加えられる。サッカーなどにはゲーム時間が決められるが、相撲や野球、テニスといったものには、基本的にゲーム時間はなく、どちらかが勝つまでとなっている。そこに、主に選手の安全面に配慮したルールや、観客にアピールするためのルールなどが加えられる。また、ルールには何らかの罰則があり、ルールが順守されているかを判断するために審判員が置かれる。

そういった付随ルールは、しばしば変更される。同じゲームでも加点の方法が変わるなどで、個々の選手に有利不利に働くことになる場合も多い。得意なことがルール違反となり、そのまま消えていく選手たちもいる。そういったルール変更に選手たちが関わることはないといってよく、運営団体の一部の役員が独断で決めることが多い。

ルールのすべてを選手たちが納得しているわけではない。また、審判員が常に正確に判断できるわけでもない。
それでも、ルールはルール。グランドでは審判員がルールなのだ。

ルーニーは、
「今までの優勝チームを見れば、抜け目なさを兼ね備えたチームだというのは一目瞭然だ。強いチームは勝利に必要なずるさも持ち合わせている」
「勝敗に与える影響はわずかかもしれないが、大会を去るか残るかの瀬戸際で、わずかの差が大きな意味をもつこともある」
と語っている。ゲームやルールを知り尽くしたプロが、自己のリスクでぎりぎりの「ずる」をすることは多い。それが勝負強さにつながるともいえるかもしれない。

同じ事は、先頃、世界の金融市場で大問題となったFXや短期金利のフィキシング(仲値決め)にも当て嵌まる。大手の金融機関は軒並み有罪とされ、多額の罰金を支払うことになった。なぜ、そこまで横行したのだろうか?

答えはプロの「ずる」にある。例えば、信号機が赤なら付近に誰もいない時でも、自動車ならば絶対に止まらねばならない。信号機が青でも、自動車ならば前方に注意する必要がある。万一の場合を考えれば、青だから事故を起こして良いとは言えないのだ。

しかし、歩行者ならばどうだろう? 信号機が赤でも、車がまったくない時には、私ならば「ずる」をする。一方、信号機が青でも、車が来ていないか必ず左右を確認する。交通ルールよりも、自分の身の安全ルールを優先するためだ。フィキシングは歩行者が赤信号で渡ったようなものだ。誰かがそれほど困るとは思っていなかった。皆で渡れば恐くないと思っていたら、全員が過去に遡って検挙された。

監督はルーニーのような選手を頼もしく感じると思う。立場上、監督が「ずる」を勧めるわけにはいかない。とはいえ、どんなルールでも「ばか正直」に守って、負けるような選手は「ルールに逃げた」と感じるかもしれない。ましてや、ルールどころか、監督の言いつけ通りにやるだけで、自分の判断リスクを負わない選手は、一人前のプロとは見なさないかもしれない。難しい問題だ。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/6/23 「過去に捉われるな!」
http:/money.minkabu.jp/45559

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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。