FXコラム

Q&A:日銀追加緩和の日本株ETF購入で、どうして日経平均が上がるの?

【著者】

:先月に日銀は追加緩和で日本株ETFを年間3.3兆円から6兆円に増額して購入することを決定しました。

ところで、ETFを購入すると、日経平均は上昇するものなのでしょうか。ETFは投資信託の一種であって、新規発行の分を購入すれば、日経平均は上昇すると思うのですが、どうなんでしょうか。証券会社は増額分を新規発行して新たに個別株を購入するのでしょうか。既に市場に出回っているETFを購入したからといって、株価上昇に結び付くとは思えません。

また、そもそも日銀の日本株ETFの購入は、株価上昇を狙ったものではなく、国債の買い上げと同じように、市場に通貨供給量を増やすことが狙いなのでしょうか。

すごく基本的で今更の質問ですが、よろしくお願い致します。

ETFはオープン型上場投信で、いつでも購入、売却ができます。
追加発行の必要はありません。流通しているETFは既存の買い手の資金、追加緩和の日銀は追加資金の買い手として現れます。

日銀によるETF購入の主目的は、国債購入と同じように、市場に通貨供給量を増やすことが狙いです。とはいえ、購入対象が値上がりすることが十分に期待できますので、株価の上昇も狙いだと言えます。
国債購入の場合では、国債価格の上昇、つまり、利回り低下も狙いです。

日銀が買っているのは、株価指数連動型のETFです。ETFの運用は証券会社が行いますが、株価指数にできる限り連動するように運用します。
株価指数から乖離して上げても下げても連動型とはならず、投資家に約束した目論見書から逸脱するからです。

ある株価指数連動型ETFが買われると、一時的には需給でETFが割高の状態となりますが、証券会社がETF構成銘柄を市場で買うことによりETFの割高感は消滅します。

この時、JPX日経400株指数連動ならば400銘柄、TOPIX連動なら東証1部の全銘柄を単位株で買うとすると大量の資金が必要です。
また、注文執行の時間とコスト、スリッページなどで、現実的な連動がかえって難しくなります。そこで、できるだけ少数の銘柄で株価指数と連動する株価バスケットを買うことになります。

株価指数に最も効率的に連動する株価バスケットの銘柄選びが、各社のクオンツ(定量分析家)の腕の見せ所といえるでしょう。

このように日銀のETF購入は、ほぼ即座に株価指数の上昇に結び付きます。お盆、夏枯れ、薄商いなどでは、定期的に決めた分を買う人の比重が高まるので、より効果的かもしれません。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。