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金曜日の米雇用統計

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8月26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで行われた国際経済シンポジウムでの講演で、イエレン米FRB議長は「利上げの条件が整ってきた」と述べた。一方で、「1965年から2000年、政策金利は平均7%以上あった」が、「今では中長期的に3%までしか利上げできないとみている」と付け加えた。

これでは、利上げ時期が近いか遠いか分からない。
しかし、フィッシャー副議長が、利上げは「年内2回は可能」だと述べたことで、早期利上げ観測が高まった。

米国の政策金利を決定するFOMCは年8回開催される。
1月、3月、4月、6月、7月と、今年は9月20-21日、11月1-2日、12月13-14日の8回だ。このうち、3月、6月、7月、12月の4回は、会合後の記者会見を伴うため、利上げや利下げの確率が高いとされている。

もしこの後、年2回の利上げがあるとすれば、12月と、9月か11月のどちらか、という確率が高まったことになる。

FOMCの金融政策の目的は、「米雇用市場と、インフレ率の安定」が2大目標とされてきた。しかし、最近のFOMCは、中国株、ブレグジット、地政学的リスクなど、米国経済以外のことも、政策金利決定要因に含めている。となれば、「利上げの条件が整っている」のに外部条件で頓挫するリスクを排除するために、可能ならば9月に1回、利上げしておきたいと考えるのが自然だ。

その意味では、9月2日に発表される米8月の雇用統計が、これまで以上に注目を集めそうだ。ちなみに市場予想は、 失業率が4.8%(7月は4.9%)、非農業部門雇用者数は18万人増(7月は25万5000人増)となっている。
また、インフレ指標として注目されている平均時給は、前月比+0.2%、前年比+2.5%(7月は前月比+0.3%、前年比+2.6%)との予想だ。

投機筋のドル円ポジションは、先週末で多少は買い戻された兆候があるものの、依然大幅ショートだ。雇用統計が予想通りだと、利上げの観測が高まりそうなので、更なる買い戻しの可能性が出てきた。

参照チャート:IMMの投機的円ポジションの推移
IMM

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。