ねずみの相談

OPECは9月28日の非公式会合で、原油生産を日量3250万-3300万バレルのレンジまで減らすことで大枠合意した。減産すれば2008年以来となる。27日には、ロシアのノワク・エネルギー相が会合に出席しない意向を示し、今回の会合での合意は困難だと見られていたため、原油先物価格は6%以上急騰した。

とはいえ2カ月先、11月30日の次回会合までは、各国の目標生産量を決めない方針だという。

OPEC8月の生産水準は日量3324万バレルだった。従って、大枠合意の水準は24万バレルから74万バレルの減産となる。中間の50万バレルだとしても、1.5%ほどの減産となる。この程度の減産で原油価格は上昇するのだろうか?

1980年代半ばの原油価格暴落時に、出光興産の調査部の人に伺った話では、当時のスイング・プロデューサーだったサウジアラビアによる1%以下の減産でも、十分に価格維持に役立つとのことだった。

とはいえ、現在のOPECの影響力は当時に比べる術もなく弱まっている。サウジアラビアと並ぶ大産油国、米ロの協力がなければ、減産損となりかねない。

北米では過去2年間に原油・ガス生産者の約100社が破綻した。原油価格の水準が現状のままだと、今後も100社ほどが破綻すると見られている。
ロシアは国家財政の多くを原油収入に依っており、原油価格の上昇を望む事情は、米ロ共、OPEC諸国と変わらない。

そこで、イソップ寓話のひとつ「ねずみの相談」を思い出した。
猫の被害に苦しむ鼠たちが相談し、猫の首に鈴をつければ解決するとなったが、どの鼠も実行を嫌がり、いつまでも猫の被害が続いたという話だ。

原油減産も、米ロの協力はもとより、OPEC内部でも今後2カ月間に具体的な減産合意が得られるかどうかは分からない。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
最新記事:16/12/5「イタリア国民投票の焦点
矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。