FXコラム

米ドル連動の比率を高めた新SDR

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2016年10月1日、中国元がIMFのSDR構成通貨に新規採用された。SDR(Special Drawing Rights)とは、IMFの加盟国に対し、出資額に比して配られ、通貨危機に陥った際には外貨に交換できるバスケット通貨。3月末時点で2041億SDR(米ドル換算2850億ドル)が、IMFメンバーに割り当てられている。ちなみに、3月末時点の各国の外貨準備高は11兆ドルに及ぶ。

これまでの構成通貨は、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の4通貨。新通貨の採用は、1999年にユーロが採用されて以来のこととなる。その時は、ドイツマルクとフレンチフランがユーロ統合により外された。

構成通貨内での配分比率見直しは原則5年毎に行われ、今回の見直しは2015年に行われる予定だったが、中国元を新規採用するにあたって、為替操作の疑いがないかなどを審査するため、1年間の猶予期間を設けていた。

これまでの構成比率は、米ドル41.9%、ユーロ37.4%、英ポンド11.3%、日本円9.4%だった。今後5年間の構成比率は米ドル41.73%、ユーロ30.93%、中国元10.92%、日本円8.33%、英ポンド8.09%で、中国元は一気に第3の主要通貨となった。

sdr構成比率

これで、中国が新興市場国扱いから、先進国扱いにと、格上げ認知されたという見方がある一方で、変動相場制を導入していない中国元の採用は時期尚早で、移民パワーと資金力にモノを言わせたロビー活動の結果だという見方もある。とはいえ、規模では世界第2の経済であることは事実で、中国元の参加がなければ、SDRはいびつなままでいたことになる。

とはいえ、為替変動の観点から見ると、新SDRはこれまでのSDRよりもいびつになった。というのは、今回の比率見直しでは、米ドルの比率はほぼ変わらず、他の主要3通貨の比率が削られた。新規採用の中国元が事実上の米ドル連動だということを鑑みれば、50%以上の比率でドルに連動するようになった。その意味では、ロビー活動がなかったとは言えないかも知れない。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。