FXコラム

長期金利の指標

【著者】

日本国債の新発10年物国債は、通常、「長期金利の指標となる」と前置きされるほど、重要なものだ。わざわざ新発と断っているのは、1年前に発行された10年国債は既に残存期間が9年となっているからだ。つまり、新発10年物国債とは、残存期間が最も10年に近い国債ということになる。この10年国債が市場で取引された利回りをベースに、同年限の社債金利やローン金利、住宅ローン金利などが決められる。

債券の業者間の売買を仲介する日本相互証券で10月19日、この長期金利の指標となる新発10年物国債の取引が成立しなかった。

9月21日、日銀は10年国債の利回りを「ゼロ%程度」で安定させるとした。ゼロ%なので、金利収入はゼロだ。安定させるとは、値動きを止めることで、キャピタルゲインも狙えない。つまり、もはや10年国債を取引する魅力はどこにもない。
そうした日銀の目論見通り、日本国債の値動きは小さくなり、10年国債の売買は半減した。そして、とうとう10月19日には、取引もゼロとなった。

1月下旬のマイナス金利導入では、MMFなどの短期金利市場が消滅した。

日本の債務残高は1260兆円を超え、GDP比250%と、2位ギリシャの180%を大きく引き離してのダントツ1位だ。うち、国債は約840兆円あり、日銀が400兆円を所有する。その市場が2016年になって、事実上の機能を停止した。

増税し、大型の財政を組み、市場機能を停止させる。これは、国家が民間から資金を取り上げ、コントロールを強化していることを意味する。

日本は本格的に社会主義化し始めたようだ。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。