FXコラム

グレート・ローテーション

【著者】

グレート・ローテーションが最初に起きたのは、2012年10月以降だった。

リーマンショック後、2009年の初頭から本格化した米連銀による「未曾有の金融緩和」を受け、債券価格、株価、商品価格、不動産価格などが上昇した。

しかし、多くの投資家は不景気の株価上昇を信じず、資金は株式から債券へ移動し続けた。デフレ環境では、債券買いは理屈にも合致していたからだ。債券の高値警戒感に加え、株価上昇に乗り遅れたと気付いた投資家が、突如、債券から株式へ資金を移動し始めたのが2012年10月だったのだ。ちなみに、米国の会計年度は10月からで、10月から年度を始める企業やファンドも数多い。その後は、マイナス金利政策もあり、再び債券に資金が流れるようになっていた。

今年後半になって、債券の高値警戒感、マイナス金利政策の弊害が明らかになってきたこと、マイナス利回りで金利を払い続ける負担に耐え切れなくなってきたことなどで、投資家が債券を売り始めた。この10月以降は、海外投資家が再び日本株を買い始めている。グレート・ローテーションが再燃しているところに、追い撃ちをかけたのが、トランプショックだった。

マイナス金利政策、マイナス利回りは、自然な市場原理とは合わない。つまり、過剰な政府介入の象徴だ。共和党は伝統的に過剰な政府介入を嫌う。米国の政策金利が現状の超低金利から、通常の金利に引き上げられていく可能性が出てきた。そうなると米10年国債の利回りも、過去の最低水準であった4~5%にまで上昇してもおかしくはない。今後もグレート・ローテーションが続く可能性が高い。

日本株の場合は、それに加えて、日銀や年金が継続的に買い続ける。この上げ相場で、日本の個人投資家はまたしても逆張りしているようだが、資金の流れは、上げ相場の継続を示唆している。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。