FXコラム

☆2017年の見通し

【著者】

ポピュリズム

来週、スイスのダボスで、世界経済フォーラムが行われる。昨年までの何年間かの世界経済最大の懸念は「格差問題」だったが、今年は「ポピュリズム(大衆迎合主義)」が中心テーマになると言われている。

ポピュリズム(populism)という言葉は、2016年のブレグジットやトランプ氏勝利、イタリヤ国民投票で、これまでの既定路線に抵抗する大衆に迎合する新潮流として、盛んに使われた。今年は欧州大陸の主要国で首長選挙や総選挙が相次ぎ、この潮流が続くと、世界の秩序が壊れてしまうのではないかと、危惧されている。

もっとも、ポピュリズムに対義するものは、社会経済モデル(socio-economic model)だと言われており、言うなれば、大きな政府が主導する経済だ。典型的なのが欧州で、例えば、バルセロナ市の上にはカタルーニャ政府があり、その上にスペイン政府、その上に欧州連合の組織がある。行政は欧州委員会、立法は欧州議会、司法は欧州裁判所といった具合だ。

先日はスペイン最高裁の決定が欧州裁判所に覆され、スペインの銀行が罰金を支払うことになった。また、欧州離脱を決めた英国のメイ首相が立法権を取り戻すことは譲れないと発言したことで、ハード・イグジットだとしてポンドが売り込まれた。主権国家として当然だと思われていたことが、統一国家をめざす連合では大衆迎合だと見なされる。

日本でも政府の意向に従わない地方政府が誕生すると、ポピュリズム的な報道がされることがあるが、米政府に従わない日本政府が誕生しても、あからさまにはポピュリズムとは言われない。

自分たちの生活の場所のルールが、自分たちが全く知らない人たちによって、自分たちが日常使っている言葉とは違う言語で、頭でっかちな理念を優先して決められている。それが、欧州の実情だ。

そして、民主主義の切り札ともいうべき国民投票を蔑むことの方が、私は秩序の濫用だと危惧している。

次回は、2016年に起きたこと。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
最新記事:16/12/5「イタリア国民投票の焦点
矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。