【来週の注目材料】利上げへの期待を押し上げるか~英物価統計

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 一時確実視されていた8月の英中銀金融政策会合(MPC)での利上げ見通しが、ここにきて揺れています。
 前回のMPCで6対3での金利据え置きとなった英中銀。
 次回8月2日のMPCは四半期インフレ報告が同時に発表されるスーパーサーズデーにあたることから、利上げのタイミングとして最適として、一時はほぼ利上げを織り込む動きを見せていました。
 
 金利先物市場動向からみた8月のMPCでの利上げ割合は、3月のMPCで9名の投票メンバーのうち、タカ派で知られる2名の外部委員が利上げに投票したことで上昇を見せ、4月ごろには90%に乗せる動きを見せるなど、利上げをほぼ織り込む格好に。

 その後、英消費者物価指数(CPI)がマイ発表ごとに鈍化していったことや、カーニー総裁が利上げは既定路線では無いと発言したことなどで、いったん期待が大きく後退。

 しかし、直近5月分のCPIが4月分と同水準で下げ止まりを見せたことや、前回6月21のMPCで、タカ派の外部委員2名に加えて、内部委員でチーフエコノミストを務めるホールデン理事が利上げに投票したこと、さらに、その後カーニー総裁がさらなる引き締めが必要と発言し、将来的な利上げに前向きな姿勢を示したことなどが追い風となり、80%を超えるところまで利上げ期待が広がっていました。

 しかし、ここにきて再び利上げ期待が後退してきています。
直近の利上げ割合は70%程度。3割程度が据え置き見込みと、見通しが揺れている状況です。

 ブレグジットに関して、メイ英首相が進めるソフトブレグジットによるプランに反対して、ジョンソン外相やデービスEU離脱担当相(どちらも当時)が辞任したことなどが、政権に対する不安な、ブレグジット交渉の今後に対する警戒感につながり、先行き不透明感からの利上げ期待後退につながっている部分がありそうです。

 そうした中、来週は18日に利上げの鍵を握る英国の物価統計(6月)が発表されます。

 インフレターゲットの対象として特に注目度の高い消費者物価指数(CPI)前年比は+2.6%と、前回5月分の+2.4%から上昇の見込み。エネルギー価格の上昇が響く格好で、同コアの前年比は5月の2.1%から2.0%へ低下する見込みとなっていますが、英国の場合、ターゲット対象は総合の数字のため、0.2%ポイントの上昇はインパクトがありそうです。

 同時に発表されるその他の指標をみても、生産者物価指数(PPI)は仕入れ段階、出荷段階ともに5月分を超える上昇見込み。
小売物価指数(RPI)も総合及びかつてインフレターゲットの対象であったモーゲージ利払い除くコアがともに5月分を超える上昇見込みと物価上昇傾向が顕著となっています。

 予想通りの数字が出てくると、とりあえず8月は利上げという見通しが広がりそう。同時に発表される四半期インフレ報告での経済成長や物価見通しが前回と大きく変化しなければポンドの買い材料となる可能性がありそうです。

山岡和雅

minkabu PRESS編集部 山岡和雅

1992年チェースマンハッタン銀行入行。1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍。10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後にGCIグループに参画。2016年3月よりみんかぶグループに入り、現在、株式会社みんかぶ編集部外国為替情報・商品先物情報担当編集長。(社)日本証券アナリスト協会検定会員 主な著書に「初めての人のFX 基礎知識&儲けのルール」スバル舎、「夜17分で、毎日1万円儲けるFX」明日香出版社など