イタリア予算、正式に差し戻しへ 前代未聞の事態に相場はどう反応するのか

 欧州委員会は23日、イタリア政府から提出された2019年予算案について、差し戻しを決定し、規定通り3週間以内の再提出を要求した。
 同予算については、15日にイタリア政府の閣議決定が行われ、イタリア議会を通過し、欧州委員会にいったん提出されたが、財政規律ルールに対する違反があるとして18日にいったん再提出が要求されていた。この要求は正式な差戻しではなく、イタリア政府からの修正を期待するものであったが、イタリア政府は修正しない考えを22日に欧州委員会に示したことで、今回正式に差し戻しが決定された。

 ギリシャショックなどを受けて、EUの財政規律強化のため2013年に欧州委員会の権限が強化され、各国の予算の事前審査と差し戻し権限を委員会が保持することとなってから、実際に差し戻しが決定された初めてのケースとなる。

 コンテ首相はこの差戻し決定に対して、今日になって見直す意味はないと発言。予算修正に応じない考えを示した。

 トリア財務相はより柔軟な姿勢を示しているが、連立与党のそれぞれ党首でもあるサルビーニ副首相及びディマイオ副首相は基本的に強硬派とみられ、厳しい状況が続いている。

 このまま修正を拒否した場合、欧州委員会は規定に沿ってイタリアに制裁を行うことになる。おそらく春以降になるが罰金などの制裁が科せられる可能性がある。ただ、これまで欧州委員会はフランスなど規定を超える赤字を出した国(フランスの場合9年続けて規定を超えた)に対して、制裁を見送ってきた。ここでイタリアに対して強硬策をとると、EU内部の不協和音が強まる結果となりそう。そもそも累積債務が大きいことで財政赤字削減を求められているだけで、単年度の赤字としては現在のイタリア政府が提出しているプランでも規定を超えてはいない(EUの財政規律は対GDP比3%以内)だけに、制裁強硬は難しいとみられる。この場合、対立による市場の混乱だけが目立ち、結果何も変わらないという可能性も。

 相場の反応は難しい。このままコンテ政権が予算の修正拒否姿勢を貫くと、とりあえずのユーロ売りの動きは致し方ないところ。ただ、長期化する問題とみられるだけに、どこまでその流れが続くのか。突っ込んだ売りはとりあえず避けたいという印象。

山岡和雅

minkabu PRESS編集部 山岡和雅

1992年チェースマンハッタン銀行入行。1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍。10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後にGCIグループに参画。2016年3月よりみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)グループに入り、現在、minkabu PRESS編集部外国為替情報担当編集長。(社)日本証券アナリスト協会検定会員 主な著書に「初めての人のFX 基礎知識&儲けのルール」スバル舎、「夜17分で、毎日1万円儲けるFX」明日香出版社など