【指標解説】2月の雇用統計に何が起こったのか

 2月の雇用統計、非農業部門雇用者数(NFP)は事前の18万人前後の増加という予想を、はるかに下回るわずか2万人増という衝撃的な結果になりました。
 ある程度のブレがある指標だけに、予想値もある程度ブレがありましたが、もっとも弱い予想をさらに大きく下回る結果に、一時ドル売りが強まる場面が見られました。
 一方で失業率は予想の3.9%を下回る3.8%。労働参加率は5年ぶりの高水準となった前回と同じ63.2%。
 高い労働参加率を維持しながらの失業率の低下というこちらは強めの結果に。
 平均時給も予想の0.3%を超える0.4%増と、前回の0.1%増からしっかりと改善の強めの数字となっています。

 非農業部門雇用者数の弱さだけが突出したという結果になりました。

 では、なぜここまで非農業部門雇用者数は弱めに出たのでしょうか。
詳細を含めてみていきましょう。

 今回の数字、(広義)製造業が-3.2万人と、前回の+8.1万人から大きく減少。
鉱業、建設業、製造業全て冴えなかったですが、なかでも建設業が前回の+5.3万人から-3.1万人となり、前回からの差が8.4万人と大きなものになっています。

 天候などにある程度左右され、ブレの大きく部門ではありますが、昨年は一度もマイナス圏になっておらず、今回の大きなマイナスはかなりのサプライズとなりました。

 耐久財が足を引っ張って製造業も伸びが鈍かったです。耐久財は前回に+2.3万人から+0.5万人と2017年4月以来の低水準に。同部門の中でぶれの大きい自動車部門は前回のマイナスからぎりぎりプラス圏と、今回の弱さには関係がなく、製造業全般の弱さが目立ちました。

 非製造業部門では、何といっても弱かったのが、小売、倉庫・運輸、医療・教育、レジャーの4部門。

 小売りは上下のブレが非常に激しい分野(日本でもそうですね)なので、マイナス圏もありという気がしますが、+1.37万人から-0.61万人は結構な下げ。ちなみに健康・ヘルスケア関連の小売が大きく下げて全体を押し下げました。

 倉庫・運輸は前回の+2.96万人から-0.3万人と前回比で3万を超えるかなりの減少。宅配業・メッセンジャー部門の減少が響きました。

 基本常にプラス圏で全体を支える教育・健康が、わずか0.4万人増となったことも響きました。この分野は、日本もそうですが介護含めたヘルスケア部門の伸びが継続しており、常に全体を支える格好となっています。今回も同部門はしっかりプラスでしたが
、教育部門での減少(-1.87万人)が目立ちました。

 レジャー部門はこのところ好調だったのですが、今回は冴えず。足を引っ張ったのはアミューズメント施設、ギャンブル、レクリエーションの項目。この分野は、ここ数か月好調だったのですが、今回大きく調整され、全体の足を引っ張りました。

 と、ここまでの状況をみたところ、一つの可能性があげられます。
天候要因の影響です。

 建設・宅配/メッセンジャー・アミューズメントなどの部門は総じて天候に左右される分野です。
 1月末から2月初めにかけて米国は歴史的な寒波に見舞われており、その後少し回復したとはいえ、これらの部門の雇用に悪影響を残していたという可能性です。

 こうした状況は次の月には回復しますので、注目は次回の雇用統計。
 
 今回の数字は短期的にはある程度のインパクトがあったにせよ、影響は限定的で、次回の数字を待っての雇用市場のトレンド確認待ち。
 次回強めに雇用統計が出るようだと、米国の雇用市場はやはり堅調だったという判断でよいのではと思います。

山岡和雅

山岡和雅 | minkabu PRESS編集部

山岡和雅 | minkabu PRESS編集部

1992年チェースマンハッタン銀行入行。1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍。10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後にGCIグループに参画。2016年3月よりみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)グループに入り、現在、minkabu PRESS編集部外国為替情報担当編集長。(社)日本証券アナリスト協会検定会員 主な著書に「初めての人のFX 基礎知識&儲けのルール」すばる舎、「夜17分で、毎日1万円儲けるFX」明日香ビジネスなど メールマガジン「外国為替ディーラーの心の中」( https://www.mag2.com/m/0000094647.html )を毎営業日朝に好評配信中