日米首脳会談後にマーケットで起こったこと

【著者】

日米首脳会談をきっかけに政治相場から通常のマーケットに

先週もっとも注目された材料である日米首脳会談は、自由で公正で相互的な貿易取引に向けた新たな協議を行うことで合意するなど、日米の協力関係を示し、共同会見後に円安が進む展開となりました。

会談後にドル円は107円20銭近辺から107円50銭台まで一時上昇。その後少し振幅を見せましたが、週の後半に向けて107円台後半を試すなど、ドル高円安基調が広がり、週明けもその流れが継続しています。
共同記者会見では、安倍首相が米国にTPP復帰を促したのに対し、トランプ大統領が戻りたくないと返し、さらに米国の大きな貿易赤字について不満を示すなど、日米の溝を感じさせる部分が見られました。
現実問題として、米国が求める日米貿易不均衡の大きな是正は難しく(アメ車が日本を走り回るというのは面白い気もしますが、事実上無理でしょう)、通商問題での日米の対立は避けにくいものだけに、会談までは市場はよりひどい結果となる可能性を懸念していました。
実際には、新協議の枠組み策定などでうまくかわしたという印象で、ひどくなかったということで、リスク選好の動きが広がった格好です。

では、この後どうなっていくのでしょうか。

相場を動かす2つの大きな流れ

相場には2つの大きな流れがあります。

儲かりそうなところにお金が集まる流れと損しそうなところからお金が出ていく流れです。
同じ事のようですが、ちょっと違います。

日米首脳会談でも懸念されていた通商問題。これによって世界の貿易戦争が始まり、経済が収縮するような事態が広がると、参加者がどこが一番ダメージを受けるのかを考えます。

北朝鮮問題やシリア情勢などの有事リスクに際しても同じです。どこにお金があるのかを考える。この時には目先の収益よりも安全性が重視されます。

対して、そうした懸念がそこまで大きくない状況(こちらの方が普通です)の時は、儲かりそうなところを探します。

米中、米露などの通商問題への懸念はまだ根強く残っていますが、首脳会談後、市場は通商問題よりも、世界的な株価の好調な動きなどをきにしているようにみられ、一時の政治相場を意識したリスク警戒感は後退しています。

日米首脳会談で米朝首脳会談の実現が示され、北朝鮮有事リスクが後退、その前にシリア情勢が一服していたこともあり、有事面からのリスク警戒感も後退しました。

もちろんある程度は残っていますが、それはどのような時もあるもの。ここにきてようやく相場は政治相場から経済ファンダメンタルズを中心とした通常の相場展開へ移行しようとしています。

ではどうなる?

そうなるとどの通貨が強いか。

明らかに力強い成長を見せている米国への期待が広がります。

今月初めの雇用統計はやや期待外れでしたが、先週発表された小売売上高の力強い動きや、金利上昇局面にもかかわらず堅調な数字を示す住宅着工などが大きなサポートに。

特に小売売上高は、1月、2月と弱めに出て、個人消費の減退が懸念されていただけに、懸念払しょくの高数字が期待感を誘いました。

ドル円は、23日夕方時点で108円を試そうとしています。108円はテクニカル的にも大きな水準であり、手前の売り意欲は残っていますが、上方向への期待感がかなり強まっていると見られます。

山岡和雅

minkabu PRESS編集部 山岡和雅

1992年チェースマンハッタン銀行入行。1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍。10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後にGCIグループに参画。2016年3月よりみんかぶグループに入り、現在、株式会社みんかぶ編集部外国為替情報・商品先物情報担当編集長。(社)日本証券アナリスト協会検定会員 主な著書に「初めての人のFX 基礎知識&儲けのルール」スバル舎、「夜17分で、毎日1万円儲けるFX」明日香出版社など