FXコラム

実需はゆっくり着実に円売り、外貨買いを行っている

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FXコラム|2014/05/13

3月の経常収支は1164億円の黒字と、前年同月の1兆2831億円の黒字から大幅に縮小した。貿易収支は1兆1136億円の赤字と、738億円の赤字から大幅に拡大した。第1次所得収支は1兆7549億円の黒字で、1兆7277億円の黒字からやや拡大した。

2013年度の経常収支は7899億円の黒字だった。経常黒字は3年連続で減少し、比較可能な1985年度以降で最小となった。貿易・サービス収支の赤字額は14兆4422億円で、2012年度の9兆4338億円を大幅に上回った。貿易収支は10兆8642億円の赤字。輸出額は12年度比12.2%増の69兆8039億円、輸入額は19.6%増の80兆6681億円。海外から受け取る利子や配当など第1次所得収支は16兆6596億円の黒字だった。

ここで、繰り返しておくが、貿易赤字とは輸入総額が輸出総額を上回っているということで、輸出入企業の収益とは関係がない。2011年に貿易赤字に転じ、円安に転じてからは、輸出入がらみの企業収益だけでなく日本の景気全体が上向いているところを見れば、むしろ、(貿易)赤字は(日本の)黒字なのだ。

では、3月の1兆1136億円の貿易赤字とは、どれくらいの規模なのだろうか。3月の土日休日を除く営業日は20日だった。1日当たり557億円になる。ドル円500本(5億ドル)でどれだけドル円が上がるかと想像すると、(貿易)赤字→円安・株高→(日本の)黒字の構造が見えてくるような気がする。

昨日の発表時には、仲値にかけてドル円が上昇したものの、当日の「不足」が大きくなかったためか、きれいなダブルトップをつけて反落した。この直前の高値を上抜けなければ売るというのは、ディーラーたちの習性とも言えるものだ。

とはいえ、実需はゆっくり着実に円売り、外貨買いを行っている。海外ではすっかり102円台前半で帰ってきた。

参照:ドル円
ドル円

矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。